外見を気にすることと、外見で決めることは違う
身なりを整えるのは、社会生活の一部であり、楽しみでもあります。問題になるのは、そこから先です。外見が、自分や他人の価値を決める物差しになったとき。この線を引けると、かなり楽になります。
他人には言わない言葉を、自分に言っている
いちばん多いのが、自分にだけ厳しい状態です。
鏡を見て欠点が先に目に入る、写真の自分が受け入れられない。ここで起きているのは、他人には決して言わない言葉を、自分には言っているということ。同じ言葉を友人に向けたら、関係が壊れる水準のものです。
そして、厳しくしても外見は良くなりません。判断が鈍り、手入れも楽しめなくなるだけです。効くのは、言葉を借りることです。同じことを友人が言っていたら何と返すか。それを書いて、自分に言う。
第一印象は、消えずに残る
他人を外見で判断してしまう。これは誰にでもある反応で、なくすことはできません。
問題は、そのまま判断に使ったときです。採用、評価、取引。実害が出るのはここで、しかも本人には見誤ったことが分かりません。うまくいかなかった理由が、外見のせいだとは思わないからです。
対策は意志ではなく手順です。評価の材料を、外見以外で先に決めておく。判断を印象に任せないこと。第一印象と3回目の印象を比べてみると、ずれの大きさが分かります。
比べている相手が、実在しないことがある
人や画面の中の姿と比べて落ち込む。ここで知っておきたいのは、比べている相手が加工されていることも多いということです。
加工前の姿が存在しない基準と比べていれば、勝てるはずがありません。しかも、比較は疲れているときほど強くなります。
効くのは、気の持ちようではなく接触する量を減らすことです。見たあとに気分が落ちる情報源を、1つだけ表示から外してみてください。それだけで違います。
褒めるつもりの言及も、材料になる
「痩せた?」「若く見える」。悪意はまったくありません。だからこそ、指摘されにくく、続きます。
言われた側は、体型や年齢を意識する材料として受け取ります。とくに、体重や見た目のことで悩んでいる人にとっては、重い言葉になります。
褒めることをやめる必要はありません。外見ではなく、選んだものを褒める。「その色いいね」「その靴いいですね」。本人の選択への評価なので、負担になりません。
7つの型と、最初の一歩
| 型 | 起きていること | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 自分にだけ厳しい | 自己採点が厳しい | 友人に言う言葉を自分に言う |
| 人を外見で判断 | 第一印象が残る | 評価の材料を先に決める |
| 比べて疲れている | 比較の影響が強い | 落ち込む情報源を1つ外す |
| 悪気なく口に出す | 外見への言及 | 選んだものを褒めるに変える |
| 距離が取れている | 物差しが複数ある | 悩む人に「気にするな」と言わない |
| 諦めている | 降りている | 気分が上がる1つを取り入れる |
| 自分のために整えている | 健全 | 体型と年齢には触れない |
「気にしない」と「諦めた」は違う
外見のことを考えなくなった、という状態には2種類あります。
気にしないのは楽です。物差しが複数あるので、外見の比重が自然に下がっている状態。諦めたのは、しんどさが残ります。降りているだけで、自分への採点は続いているからです。
後者の場合、必要なのは頑張ることではありません。評価とは関係なく、自分の気分が上がる1つを取り入れる。人に見せなくていい部分から始めると、続きやすくなります。
「気にしなくていい」は、届かない
最後に、距離が取れている人へ。
悩んでいる人に「気にしなくていいのに」と言っても、ほとんど届きません。基準が違うだけで、優劣ではないからです。むしろ、悩んでいること自体を否定された形になります。
できることがあるとすれば、外見の話題を出さない場を作ることです。体型と年齢に触れない。それだけで、周りがかなり楽になります。評価する立場にあるなら、基準を明文化しておくと、なお効きます。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。心理検査ではありません。食事や体重のことで生活に支障が出ている場合、外見のことで強く苦しい場合は、医療機関や公的な相談窓口にご相談ください。