自立とは、ひとりで何でもできることではない
「人に頼らずに生きる」。これを自立だと考えると、うまくいきません。頼らないことは、自立ではなく孤立に近い。実際に効いているのは、必要なときに頼れることのほうです。
6つに分けると、対処が決まる
「自立できていない」とひとまとめにすると、何をすればいいか分かりません。分けて見ます。
- 決める力。自分のことを、自分で決められるか。
- 経済の足場。生活のお金を、自分で回せているか。
- 情緒の自立。相手の機嫌で、自分の状態が決まっていないか。
- 頼れる力。必要なときに、助けを求められるか。
- 暮らしを回す技能。生活の実務を、自分でやれるか。
- ひとりでいられる。誰もいない時間に、落ち着いていられるか。
全部そろっている必要はありません。薄いところが1つ分かれば、そこだけ足せば足ります。
頼れないことは、自立ではない
いちばん誤解されているのが、この軸です。
ひとりで抱えて遅れるほうが、周りへの影響は大きくなります。そして、もう1つ見えにくい損があります。頼られない相手は、こちらを遠い人だと感じます。
気を遣うほど関係が薄くなる。意図と結果が逆になる部分です。
経済の足場は、言えるかどうかを決める
ここは、はっきり書いておきます。
経済の足場がないと、離れる選択が事実上できなくなります。そして、関係の中で言いたいことが言えなくなる。理不尽を我慢し続ける理由の多くは、ここから来ています。
いますぐ変えられなくても、方向は作れます。自分名義の口座に、少しずつでも残す。金額より、あることが効きます。
決めてもらった選択は、相手のせいになる
決める力が薄いと、何が起きるか。
うまくいかなかったときに、「あの人がそう言ったから」が残ります。本人にそのつもりがなくても、そう思ってしまう。そして、その気持ちは関係を傷めます。
決める練習は、小さいことから始められます。今日の昼食を、人に合わせずに選ぶ。それだけでも、判断の筋肉は使われます。
7つの型と、次の一歩
| 型 | 薄いところ | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 土台がそろっている | なし | 条件が崩れていないか年1回確認 |
| 決められない | 決める力 | 小さなことから自分で決める |
| 経済の足場が薄い | お金 | 自分名義の口座に少しずつ残す |
| 情緒を預けている | 境界 | 「これは誰の感情か」を考える |
| 頼れない | 頼る力 | 小さな頼みごとを1つする |
| 暮らしが回っていない | 生活技能 | 任せているものを1つやってみる |
| 自立して見えるだけ | 情緒と決断 | 小さく頼るところから始める |
ひとりでいられることは、選ぶ力になる
最後に、見落とされやすい軸を1つ。
ひとりが苦手なこと自体は、悪いことではありません。ただ、寂しさを埋めるために関係を選ぶと、条件が悪くても離れられなくなります。
ひとりでいられると、関係を必要からではなく、良さから選べるようになります。週に1回、予定を入れずに過ごす時間を作ってみてください。最初は落ち着かなくて当然です。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。生活に困窮している場合や、関係の中で安全が脅かされている場合は、自治体の相談窓口や公的な支援制度をご確認ください。