反対されないことは、同意されていることではない
決定を集中させること自体は、悪ではありません。速さが要る場面では、有効に働きます。危ういのは、そこに異論の消失が加わったときです。この状態になると、判断の材料が入らなくなります。
集中は、それ自体では問題にならない
まず、前提を置いておきます。
危機のとき、意見が割れて動かないとき、責任の所在をはっきりさせたいとき。決定を集中させたほうがうまくいく場面はあります。
実際、誰も決めない状態が、いちばん人を消耗させます。動けないまま時間が過ぎ、そのあいだの負担は現場が背負う。
危ういのは、3つが加わったとき
- 異論が消える。反対されなくなる。そして、それを同意だと受け取ってしまう。
- 悪い情報が届かない。問題を知るのが、いつも遅い。
- 恐れで人が動く。納得ではなく、機嫌を見て動いている。
この3つがそろうと、判断の材料が入らなくなります。そして、能力があるほど、間違いに気づけないまま遠くまで進みます。
異論が消えるのは、反応の積み重ね
反対されなくなるのには、必ず理由があります。
過去に反対したときの反応です。機嫌が悪くなった、論破された、あるいは何も起きなかった。どれでも同じ結果になります。
そして、これは数回で成立します。1年もかかりません。反対されないことを、同意だと思わないでください。言われないだけです。
恐れは、いちばん速く、いちばん危ない
強い言い方で人を動かすと、確かに速い。だから、結果が出ているうちは問題に見えません。
ただ、起きているのは3つです。
- 指示以上のことが起きない。言われたことしかやらなくなります。
- 悪い情報が完全に止まる。報告すると責められるからです。
- 優秀な人から辞めていく。選択肢がある人ほど、先に出ます。
7つの型と、次の一手
| 型 | いまの状態 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 決めるが開いている | 集中と開放が両立 | 判断できる人を育てる |
| 恐れで動かしている | 速いが、情報が止まる | 悪い報告に、まず礼を言う |
| 異論が消えた | 反対されない | 「どこが危ないか」と聞く |
| 気分で決まる | 周りが機嫌を見ている | 判断の理由を3行で共有 |
| 自分がいないと回らない | 休めない | 1週間、判断を任せてみる |
| 分散できている | 健全 | 決めるべき場面では引き取る |
| 決めない | 誰も決まらない | 「自分が決めます」と言う |
変えられるのは、最初の10秒
最後に、いちばん効く一手を。
悪い報告が来たとき、対処より先に「早く言ってくれて助かった」と言う。
順番が重要です。事情を聞くのも、対策を考えるのも、そのあとで構いません。最初の10秒で何を言うかが、次の報告の速さを決めます。
これを3回続けると、情報の流れが変わります。逆に、1回でも責めると、そこまでの積み上げが戻ります。
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