辞める理由の多くは、仕事内容ではない
転職の理由を聞くと「仕事が合わなかった」と語られます。ところが詳しく聞いていくと、内容そのものより決め方・話し方・評価のされ方が合わなかった、という話になることが多い。それが社風です。
社風は求人票に書かれていない
給与も勤務地も職務内容も書いてあるのに、社風だけは書かれていません。書いてあっても「風通しがよい」「若手が活躍」といった、どの会社でも書ける言葉になります。
だから、入ってから分かることになる。しかも合わないと分かるのに数か月かかり、そのころには辞めにくくなっています。
対策は、面接で具体的に聞くことです。抽象的な質問には抽象的な答えしか返りません。
面接で聞くと社風が分かる、5つの質問
- 「この1年で、方針が変わったことはありますか」 — 変化の速さが分かります。
- 「評価はどう決まりますか」 — 明文化の度合いと、上下関係の強さが出ます。
- 「これは誰が決めますか」 — フラットさと、決まらなさは別物です。
- 「1週間に会議は何時間ありますか」 — チームで動く度合いが数字で分かります。
- 「この事業を続けている理由は何ですか」 — 意義を軸にする組織かどうかが出ます。
答えの内容より、答え方に社風が出ます。即答できるか、言葉に詰まるか、誰に確認するか。
「成長できそう」で選ぶと外しやすい
転職先を選ぶとき、成長という言葉はよく使われます。ただ、この基準は曖昧で、しかも社風とは独立しています。
前提が安定している環境で積み上げるのが得意な人が、変化の速い会社に「成長できそう」という理由で移ると、積み上げの強みが評価されない場所に行くことになります。消耗だけが残る典型的な失敗です。
成長より、「自分の強みが評価される仕組みがあるか」で選ぶほうが外しません。
人の良さと、制度の整備は別
距離の近い組織では、人の良さが決め手になることがあります。実際、それで長く続く人もいます。
ただし注意点があって、関係の良さは制度の未整備を隠します。評価の基準が曖昧でも、人がいいから納得してしまう。
条件が悪化したときに逃げ道がないのが、この形の弱点です。人の良さと制度の整備は、分けて評価してください。
8つの社風と、確認すべきこと
| 社風 | 向く条件 | 面接で確認すること |
|---|---|---|
| スタートアップ・ベンチャー | 変化が速く、意義が明確 | 資金の状況と直近1年の離職率 |
| 制度が整った大企業 | 基準が明文化されている | 評価制度が文書になっているか |
| 個人裁量・専門職 | 一人で完結できる | 週の会議時間と裁量の範囲 |
| 距離の近い組織 | チームと安定 | 評価と昇給の決まり方 |
| 意義を軸にする組織 | 使命が明確 | 残業の実態と休みの取りやすさ |
| 手順が明確な現場 | ルールと役割が明確 | 改善提案が通る仕組み |
| 自律・フラット | 上下が薄い | 「これは誰が決めますか」 |
| 条件を軸にする | 安定と待遇 | 制度・残業実態・離職率 |
時期によって、合う社風は変わる
20代で変化の速い環境が楽しかった人が、子どもが生まれた途端に安定を求めるのは、よくあることです。
変わったのは価値観ではなく、生活の条件のほうです。だから、以前の自分の選び方を基準にすると外します。
この診断は、大きな変化があったときに測り直すのがおすすめです。転職、出産、介護、健康の変化。前提が変われば、噛み合う社風も変わります。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。特定の企業を推奨・非推奨するものではなく、採用・配置の判断に用いることも想定していません。