腕があっても、続かなくなる3つの閉じ方
質にこだわり、自分で手を動かし、一つを深める。この態度が、品質を支えています。ただ、そこに固有の閉じ方があります。どれか1つでも起きると、腕があっても続かなくなります。
閉じ方① 教えない
「見て覚えろ」で止まっている状態です。
技能が自分の代で終わる、というのが分かりやすい損です。ただ、もう1つ、本人にとっての損があります。
教えると、自分の理解が深まります。感覚でやっていた部分を言葉にすると、意識して使えるようになる。教えない人は、この整理の機会を失っています。
始め方は簡単です。自分のやり方を、3つの手順に分けて書いてみる。それだけで、見えてくるものがあります。
閉じ方② 需要を見ない
質は高いのに、届いていない状態です。
ここで押さえておきたいのは、良いものを作れば分かってもらえる、という前提は成り立たないということ。残念ながら、質と認知は別の問題です。
難しく考える必要はありません。自分の仕事を必要としている人を、3人思い浮かべてみる。具体的な顔が浮かぶかどうかで、届き方が変わります。
閉じ方③ やり方を更新しない
確立した方法を守り続けている状態です。
安定はします。ただ、前提が変わったときに取り残されます。道具、素材、需要、規制。5年で変わるものは、意外に多い。
そして厄介なのは、変わったこと自体に気づきにくいことです。うまくいっているうちは、変える理由がないからです。
対処は軽いもので足ります。若い人のやり方を、1つだけ試してみる。合わなければ戻せばいい。
手を動かさなくなる時期も、来る
もう1つ、キャリアの話を。
管理や調整に回ると、実作業から離れます。これは自然な流れで、悪いことではありません。
ただ、離れる期間が長いと、判断の精度が落ちます。現場の難しさが分からなくなり、指示が現実と噛み合わなくなる。年に数回でいいので、自分で最後まで作ってください。
7つの型と、次の一手
| 型 | いまの状態 | 次の一手 |
|---|---|---|
| 練達 | 手が動き、質も落ちない | やり方を3つの手順に書く |
| 閉じている | 外とつながっていない | 必要としている人を3人挙げる |
| 伝えられる | 感覚を言葉にできる | 年に数回、自分で作る |
| 需要とつながる | 仕事が途切れない | 深める領域を1つ決める |
| 更新できていない | 方法が固定 | 若い人のやり方を1つ試す |
| 手を動かさなくなった | 判断が現場と離れる | 年に数回、最後まで作る |
| 幅を取る | 組み合わせで出す | 1つだけ深く詰める |
質にこだわる人が、いないと困る
最後に。
誰も見ない部分まで整える人がいるかどうかで、全体の水準が決まります。そして、それは数字には出ません。
この性質は、失われると戻りません。閉じないようにしながら、こだわりは持ち続けてください。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。特定の職種や働き方を推奨・否定する意図はありません。