先延ばしは、怠けではなく完璧主義から来ている
やるべきことが分かっているのに、手がつかない。これを意志の弱さだと考えている人は多い。実際には逆のことが起きています。ちゃんとやれないなら始めないという、質への責任感です。
完璧主義そのものは、問題ではない
まず、はっきりさせておきます。基準が高いことは強みです。品質が保たれているのは、この性質を持つ人がいるからです。
問題になるのは、それが次の3つに変わったときだけです。
- 始められない。うまくできないと分かっていると、着手できない。
- 終わらせられない。直し続けて、出せない。
- 自分を責め続ける。ミスが何日も残る。
直すのは基準ではなく、この詰まりのほうです。基準を下げると、強みまで失います。
本体は、白黒思考
3つの詰まりを生んでいるのは、たいてい同じものです。100点でなければ0点という見方。
この物差しだと、80点の成果が失敗として記録されます。すると、始めるのが怖くなり、出すのが怖くなり、ミスが致命傷に見える。全部つながっています。
確かめ方は簡単です。終わった仕事に、自分で点をつけてみる。0か100しか出ないなら、物差しのほうを疑ってください。実際には、世の中のほとんどは80点で回っています。
始められないときは、名前を変える
着手できない仕事に効くのは、意志ではなく設定の変更です。
「下書き」と名前をつけて始める。あとで捨てていい、と先に決めておく。質を求めない場所を作ると、手が動きます。
もうひとつ、分解が足りていないことも多い。「資料を作る」ではなく「見出しだけ書く」まで割ると、着手できる大きさになります。
終われないときは、締め切りを前に倒す
直し続けてしまう場合、効くのは自分の締め切りを作ることです。
本当の期限の1日前を、自分の期限にする。そこで手を止める。あるいは、直す回数を最初に決めておく。「2回まで」と決めると、終われます。
そして、覚えておきたいことがひとつ。出さないものは、評価もされず、改善の材料も得られません。直すほど良くなるという感覚は、ある段階から成り立たなくなります。
自責と反省は、別のもの
ミスを何日も引きずる人へ。ここは区別しておくと楽になります。
- 反省。次の行動を変える。時間を決めて1回やれば足ります。
- 自責。判断を鈍らせ、次のミスを増やす。何時間やっても効果はありません。
厳しくすることと、うまくなることは同じではありません。同じミスを友人がしたら何と言うか。それを書いて、自分に言ってみてください。
7つの型と、最初の一歩
| 型 | 詰まっている場所 | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 高い基準で回っている | なし | 必要な水準を仕事ごとに決める |
| 100かゼロかで見る | 物差し | 終わった仕事に点をつける |
| 始められない | 着手 | 「下書き」と名前をつける |
| 終わらせられない | 完了 | 期限の1日前で手を止める |
| 自分を責め続ける | 事後 | 友人に言う言葉を自分に言う |
| 他人にも求める | 周囲 | 求める水準を例で先に渡す |
| 割り切れている | なし | 質が要る領域を選んで上げる |
周りに求めると、自分の仕事が増える
自分に厳しい人が、他人にも同じ水準を求めると、独特の悪循環が起きます。
任せられず、細かく直す。相手は「どうせ直されるなら考えなくていい」と学習する。結果、自分の仕事が増えます。
効くのは、合格ラインを下げることではありません。求める水準を、先に例で渡すことです。「前回のあの資料と同じ形で」で足ります。察してもらうのをやめると、直す回数が減ります。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。完璧主義を欠点として扱う意図はありません。