お金の問題の多くは、知識の手前で止まっている
節約の方法も、資産形成の考え方も、調べればいくらでも出てきます。それでも動けないとき、詰まっているのはたいてい情報ではありません。受け取れない、見られない、話せない。この3つのどれかです。
まず、心の問題ではないものを分ける
最初に、はっきりさせておきたいことがあります。収入が足りない、借金がある、生活が回らない。これらは心のブロックではありません。
考え方を変えても解決しませんし、そう扱うこと自体が、当事者を追い込みます。こうした状況は、制度と支援の領域です。自治体の相談窓口、生活支援の制度、法テラスなど、使える仕組みがあります。
この記事が扱うのは、選べる余地があるのに動けない場合の話です。
見ないことは、いちばん高くつく
残高も明細も開いていない。これは、かなり多くの人がやっています。
見るのが怖いのは、見た瞬間に何かを決めなければならない気がするからです。だから、決めなくていいことにしてしまうのが早い。「見るだけで、何もしない」と先に決めておくと、開けるようになります。
そして、見ないあいだも状況は進みます。手数料も、無駄な固定費も、不正な引き落としも。見ることは対処ではありませんが、対処の入口です。
受け取れないことは、優しさではない
頼まれると安く引き受けてしまう。値引きを先に言ってしまう。相手のためにやっているつもりでも、実際には別のことが起きています。
安く受けた仕事は、相手からも安く扱われます。金額は、こちらの自己評価をそのまま相手に伝える情報だからです。そして、安い仕事が増えるほど、良い仕事に使える時間が減ります。
上げるのは1割で構いません。断られたら、そのときに考えればいい。一度言えると、次からは楽になります。
使う罪悪感と、なくなる不安は別のもの
似ているようで、対処が違います。
- 罪悪感。使うこと自体に後ろめたさがある。対処は、予算を先に決めること。決めた範囲なら、罪悪感の出番がなくなります。
- 不安。減ること自体が怖い。対処は、目標額を数字にすること。上限のない備えは終わりません。
どちらも、その場の判断でどうにかしようとすると失敗します。先に決めておくのが共通の対処です。
刷り込みは、誰の言葉だったか
「お金の話をするのは下品」「たくさん稼ぐ人はどこか後ろ暗い」。こうした感覚は、自分で選んだ考えではないことが多い。育った環境で、繰り返し聞いた言葉です。
効くのは、書き出すことです。お金についての決めつけを3つ書いて、誰の言葉だったかを添える。文字にして眺めると、それが事実ではなく意見だったことが見えてきます。
引き継ぐかどうかは、自分で決められます。
7つの型と、最初の一歩
| 型 | 詰まっている場所 | 最初の一歩 |
|---|---|---|
| 見ないようにしている | 直視 | 今日、残高を1回だけ見る |
| 使うと罪悪感が出る | 罪悪感 | 自分のための予算を月に1つ決める |
| 受け取れない | 対価 | 次の依頼で1割足して伝える |
| なくなる不安が強い | 不安 | 「いくらあれば安心か」を数字にする |
| 刷り込みが強い | 信念 | 決めつけを3つ書き出す |
| ブロックが薄い | なし | 守りの手続きを固める |
| 使うことで埋めている | 直視と引き金 | 買った日の気分を1行残す |
話せるようになると、いちばん変わる
最後に。お金のもめごとの多くは、金額ではなく話していないことから起きます。
家族との方針、友人との会計、仕事の報酬。どれも、切り出しにくいから後回しになり、後回しにするほど言いにくくなります。
入口は、金額ではなく方針からです。「うちは何にお金を使いたいか」。数字より入りやすく、そこから自然に金額の話になります。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。投資助言ではありません。生活に困窮している場合は、自治体の相談窓口や公的な支援制度をご確認ください。