効いているのは、場所ではなく速度のほう
田舎に移る、自分で作る、自然に触れる。よく挙げられる要素ですが、どれも本体ではありません。効いているのは、速度を自分で選べるかどうか。都会にいても、忙しくても、その部分は作れます。
速く動けることは、能力である
先に、はっきりさせておきます。速く動けるのは能力です。多くの人は、それで成果を出してきました。
問題は、速度が標準になって、遅くする方法を忘れることです。休日にも同じ速さで動き、待ち時間があると何かをせずにいられない。この状態だと、休んでも回復しません。
だから、目指すのは「遅い人になること」ではありません。速度を選べるようになることです。
効いているのは、余白と「足るを知る」
6つの条件のうち、実際に速度を決めているのはこの2つです。
- 余白。何もしない時間に耐えられるか。予定を埋めない選択ができるか。
- 足るを知る。いまあるもので足りていると感じられるか。
とくに2つ目が大きい。足りない感覚が続いていると、収入が増えても速度は落ちません。基準のほうが一緒に上がるからです。
予定を埋めるのは、休むことではない
休日にも予定を入れてしまう人へ。
楽しい予定であっても、埋まっている時間は休息ではありません。別のことをしているだけです。
そして、埋めたくなるのには理由があります。空白が落ち着かない。止まると取り残される気がする。これは、足りない感覚から来ていることが多い。
始め方は小さくします。何も予定のない半日を、月に1回だけ作る。最初は落ち着かなくて当然です。慣れるまで数回かかります。
手間を楽しめるかは、人による
作る、育てる、直す。スローライフの象徴のように語られますが、全員に合うものではありません。
効率を求める性質の人が無理に手間をかけると、ただの負担になります。楽しみが義務に変わると、続きません。
合う人にとっては、これが本体です。結果ではなく、時間のほうが目的になる。この感覚があるかどうかで、選ぶものが変わります。
憧れだけでは、成立しない
この記事でいちばん伝えたいのが、ここです。
手間を楽しむには時間が要り、時間には条件が要ります。収入、働き方、住む場所、家族の状況。条件が足りないまま速度を落とすと、生活のほうが崩れます。
順番は、条件を先に作ることです。固定費を下げる、働き方の選択肢を調べる、住む場所を検討する。条件が整えば、あとは自然に実行できます。
憧れは、持ち続けて構いません。時期を決めて保留にするのは、あきらめるのとは違います。
7つの型と、次の一歩
| 型 | いまの状態 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| すでにスロー | 速度を選べている | 支えている条件を書き出す |
| 速度が標準 | 遅くする方法を忘れている | 移動を1つ、遅い手段に変える |
| 憧れだけが先 | 条件が足りない | 固定費を1つ見直す |
| 手間を楽しむ | 過程が目的になっている | 同時に持つ数を3つまでに |
| 余白が怖い | 予定で埋めている | 予定のない半日を月1回 |
| 足るを知っている | 比較から降りられている | 合わないものを無理に足さない |
| 速くせざるを得ない | 条件の問題 | 条件を1つ動かす |
季節が分からなくなったら、指標として使う
最後に、簡単な目安を1つ。
季節が変わったことに、あとから気づく。この状態が続いているなら、忙しさの指標として使えます。
時間の流れを、時計以外で測れなくなっているということだからです。同じ道を月に一度歩くだけでも、感覚は戻ります。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。特定の暮らし方や地域を推奨するものではありません。生活に困窮している場合は、自治体の相談窓口や公的な支援制度をご確認ください。