リモートが合わないのは、たいてい性格の問題ではない
「リモートだと集中できない」という話を聞くと、自己管理の問題として語られがちです。ところが実際に何が起きているかを分解すると、机がない・家族がいる・区切りがないといった、環境と設計の問題であることがほとんどです。
まず、設備と場所の話
自宅にきちんと働ける場所があるかどうかは、精神論ではありません。ダイニングテーブルで一日作業すれば、誰でも肩と腰を痛めます。同居人がいれば、日中は落ち着きません。
これは能力ではなく設備の問題なので、解決も設備で行うのが正しい。自宅以外に働ける場所を1つ確保する。週1回でも、それだけで印象が変わります。
始まりと終わりの合図が消える
通勤には、移動という以外の機能があります。始業と終業の合図です。これがなくなると、始めるのにも終わるのにも判断が必要になります。
- 始業の合図。着替える、外を一周する、コーヒーを淹れる。内容は何でもよく、毎日同じであることが重要です。
- 終業の合図。機器の電源を切る、散歩に出る、部屋を変える。集中できる人ほど、終われずに働き続けます。
書く力が、そのまま評価になる
リモート中心の環境では、伝わる量が文章の質にかなり依存します。口頭なら30秒で済む説明が、文章だと伝わらない。これは能力の差ではなく、形式の差です。
効くのは、型を用意することです。依頼なら「背景・依頼内容・期限・判断してほしいこと」の4行。これだけで、往復の回数が減ります。
書くのが苦手なこと自体は欠点ではありません。ただ、リモートではその不得意が実力より低い評価として現れやすい、という事実は知っておく価値があります。
人と会う必要は、条件であって弱点ではない
人と会うことで力が出る人がいます。これは社交的かどうかとは別で、単に力の出方の違いです。
この型の人がフルリモートになると、成果が落ちるだけでなく消耗します。「慣れれば大丈夫」ではなく、条件が合っていないと考えたほうが正確です。
週の一部を出社に充てる形が現実的ですが、曜日は固定してください。「気が向いたら出社」は、どちらの利点も取り逃します。
6つの型と、次にやること
| 型 | 起きやすいこと | まずやること |
|---|---|---|
| リモート向き | 関係が薄くなるのに気づけない | 雑談だけの時間を予定に入れる |
| 出社向き | 家では着手が遅れる | 自宅以外の働ける場所を確保する |
| ハイブリッド | どちらも中途半端になる | 出社の曜日を固定する |
| リモート志向・環境不足 | 原因を性格だと思ってしまう | 場所の確保と終業時刻の固定 |
| 線が引けない | 成果より先に体調が落ちる | 終業の合図を1つ決める |
| 人と居ると力が出る | 文章で低く評価される | 依頼を4行の型で書く |
制度より、条件を交渉する
「リモートにしてほしい」「出社してほしい」という話は、制度の話になりがちです。ところが実際に効くのは、もっと細かい条件です。
- 出社する曜日を、こちらで指定できるか
- 会議のある日だけ出社にできるか
- コワーキングの費用が補助されるか
- 中抜けが認められるか
全か無かではなく、条件を1つ動かす交渉のほうが通りやすく、効果も大きい。制度の変更を待つより早く着きます。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。この診断は勤務形態の決定や人事評価に用いることを想定していません。