支える側の技術は、先回りと引き際で決まる
秘書、アシスタント、参謀、事務方。呼び名は違っても、求められる力は同じです。先回りできるか、線を引けるか。この2つで、評価も消耗も決まります。
先回りが、いちばん評価される
支える側で、もっともはっきり差がつくのがここです。
頼まれてから動く人と、すでに用意されている人。同じ作業でも、相手の負担がまったく違います。
難しいことではありません。相手の次の予定を1つ見て、必要になりそうなものを1つ用意しておく。それだけで、扱いが変わります。
ただし、先回りしすぎると越権になる
この力には、裏返しがあります。
良かれと思って進めたことが、相手の判断の機会を奪うことがあります。しかも、方向が違っていたときの手戻りが大きい。
対処は簡単で、動きを止める必要はありません。「こう進めます、違えば言ってください」と一言添える。それだけで、越権が提案に変わります。
裁量の線を、最初に聞いておく
もっと根本的な対処もあります。
「どこまで自分で決めていいですか」。最初に一度だけ聞いておく。金額でも、影響範囲でも構いません。
線が決まると、確認の回数が減り、しかも外しません。決めすぎると越権になり、確認しすぎると相手の時間を奪う。どちらも負担なので、線を引くこと自体が仕事です。
口の堅さは、任される範囲を決める
支える立場は、知る情報が多くなります。だから、この力がないと成立しません。
一度の漏れで、任される範囲が永久に狭まります。悪意がなくても同じです。「これは言っていいか」を、話す前に一度だけ確認する癖をつけてください。
7つの型と、次の一歩
| 型 | いまの状態 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 名執事 | 先回りして線も引ける | 引き受けない範囲を1つ決める |
| 先回りしすぎる | 越権になっている | 「違えば言ってください」を添える |
| 細部にこだわる | 質は高いが終われない | 求められる水準を先に確認 |
| 目立たなさが強い | 守れるが評価されない | やったことの記録を残す |
| 前に出たい | 別の適性 | 自分の領分を持つ |
| 線を引けない | 際限なく増える | 引き受けない範囲を決める |
| 線を見極める | 続けられる形 | 線の内側で、もう一歩踏み込む |
控えめであることと、記録がないことは別
最後に、支える側が損をしやすい部分を。
この役割は、うまくやるほど見えなくなります。何も起きていないのは、先回りしているからですが、起きなかったことは数えられません。
だから、やったことの記録だけは残しておいてください。自分のためです。控えめであることと、記録がないことは別のことです。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。支える役割を推奨・否定する意図はありません。