丁寧な管理と、マイクロマネジメントの違い
細かく見ること自体は、悪いことではありません。品質が要る仕事なら必要です。では何が違うのか。受け取る側の話を集めると、答えははっきりしていました。いつ・何を見られるかが、事前に分かっているかどうかです。
受け手にとっての違いは「予測できるか」
週に1回、決まった項目を確認される。これは頻度が高くても監視には感じません。何を用意すればよいか分かるからです。
一方、思いついたときに突然状況を聞かれる。回数は少なくても、こちらは強い負担になります。いつ来るか分からないから、常に身構えることになるからです。
つまり、分かれ目は熱心さでも回数でもなく、設計の有無です。
原因は性格ではなく、たいてい構造
細かく口を出す人が、支配的な性格とは限りません。話を聞くと、ほとんどの場合こう言います。「失敗したら、自分が責められるので」。
裁量を渡した先の失敗が、渡した人の責任として処理される組織では、細かく見るのが合理的な行動になります。だから、本人が「気をつける」だけでは変わりません。
変えるべきは、その手前にある責任の置き方です。管理職の側も、上に対して同じ交渉をする必要があります。
肩書きだけ渡すと、いちばん苦しい
よくある失敗が、役割は渡したのに決定権は渡していない状態です。責任だけが増え、動かせる範囲は変わらない。
肩書きを渡すときは、決定権と情報をセットで渡す。この順番を守るだけで、離職の理由はかなり減ります。
渡す範囲は小さくて構いません。金額でも、判断の種類でも、案件単位でもいい。大事なのは「ここまでは相談なしでよい」と書いてあることです。
確認の設計は、3つ決めれば足りる
- いつ。週1回、月曜の朝、など。曜日と時刻まで決める。
- 何を。報告してほしい項目を3つまで。増やすと形骸化します。
- どうなったら、その前に言うか。条件を渡す。「困ったら言って」では、相手は判断できません。
この3つが決まっていれば、あいだの時間は見なくて済みます。見ないと決められることが、任せるということです。
放任も、同じくらい問題
反対側の失敗もあります。任せていると言いながら、実際には見ていない状態です。
自律的なチームでは機能しますが、相手が詰まったときに気づけません。チームの速度を落とすのは、難しい課題より、誰かが静かに詰まっている時間です。
頻度は低くて構いません。月1回でも、決まった形で状況が上がってくる仕組みがあれば足ります。
7つの型と、次にやること
| 型 | 起きやすいこと | まずやること |
|---|---|---|
| 典型的なマイクロ | 育つ機会が減り、負荷も減らない | 決めていい範囲を1行で渡す |
| 不安がハンドルを握っている | 不定期の確認が監視に見える | いつ・何を見れば安心かを決める |
| 手順にこだわる | 好みと基準が混ざる | 品質か好みかを自問する |
| 自分で抱え込む | 担当量が処理能力で頭打ち | 判断を1つ完全に渡す |
| 放任に寄っている | 詰まりに気づけない | 月1回でも決まった形の確認を置く |
| 任せ方を組み立て中 | 渡す線が引かれていない | 渡す範囲の上限を1つ決める |
| 任せて支えている | 負荷が上がると設計から崩れる | うまくいく理由を言葉に残す |
言われた側にできること
この診断は管理する側のためのものですが、される側にも使えることがあります。
細かく確認されて苦しいとき、「信頼してほしい」と伝えても状況は変わりません。相手の不安は消えないからです。
効くのは、こちらから確認の設計を提案することです。「毎週この形で報告します。そのかわり、あいだは任せてください」。不安の解消と裁量の獲得を、同時に扱う言い方になります。
この記事は本アプリのために書き下ろしたものです。特定の書籍・論文からの引用は含みません。この診断は人事評価や、特定の個人を批判するために使うことを想定していません。