任せているのに動かない。渡す順番が間違っている
役割は渡したのに決定権は渡していない。責任だけが増えるこの状態が、離職の理由として最も多いものの一つです。渡す順番と、範囲の決め方をまとめました。
- こんな人に
- 任せているのに動かないと感じる人
- 結論
- 肩書きより先に、決定権と情報を渡す。範囲は小さくていい
- 読む時間
- 約3分
任せているつもりなのに、相手が動かない。あるいは、任せた途端に品質が落ちる。こうしたとき、たいてい渡す順番が間違っています。
そして、順番なら直せます。相手を変える必要はありません。
肩書きだけ渡すと、いちばん苦しい
よくある失敗が、役割は渡したのに決定権は渡していない状態です。
責任は増えたのに、動かせる範囲は変わらない。判断はすべて上に上げる必要がある。これは、任される側にとっていちばん消耗する形です。離職の理由として、非常に多く挙がります。
肩書きを渡すときは、決定権と情報をセットで渡す。この順番を守るだけで、事情はかなり変わります。
そして、渡したことを周りにも伝える。伝えていないと、確認が結局こちらに来ます。
渡す範囲は、小さくてよい
全部を渡す必要はありません。むしろ、いきなり広く渡すと双方が困ります。
- 金額で切る。「◯円までは相談なしで決めてよい」
- 判断の種類で切る。「日程の調整は任せる。金額の変更は相談」
- 案件で切る。「この案件は、最後まで任せる」
重要なのは、どこかに線が引いてあることです。線がないと、相手は毎回確認するしかありません。
線は、書いて渡す。口頭だと、半年後には両方が忘れています。
作業ではなく、領域で渡す
もう一つのコツが、渡す単位です。
「今回この資料を作って」ではなく「この分野の資料は担当」にする。こうすると、気づく仕事と段取りする仕事も一緒に移ります。作業だけ渡しても、こちらの負荷は減りません。
情報を渡さないと、判断はできない
決定権を渡しても、判断材料がなければ決められません。
背景、制約、過去の経緯、上が気にしていること。これらを共有しておかないと、相手は的外れな判断をします。そして「やっぱり任せられない」という結論になる。失敗の原因は能力ではなく、情報の不足であることが多い。
とくに、過去に試して失敗したことは共有しておく価値があります。知らないと、同じ道を通ることになります。
一度は、失敗させる必要がある
任せる範囲を広げるには、実際に任せた結果を見るしかありません。
だから、取り返せる範囲の失敗を、あえて起こさせる。損害が限定される案件を選んで、口を出さずに通す。ここを通らないと、範囲は永久に広がりません。
失敗したときに責めないことが条件です。責めると、次から相談が増えて元に戻ります。
選ぶ案件は、期限に余裕があるものにしてください。やり直しの時間があると、失敗が経験になります。
渡したら、次の定例まで見ない
最後がいちばん難しい。渡したあとに気になって確認すると、渡していないのと同じになります。
見ないと決められることが、任せるということです。そのために、確認の形(いつ・何を)を先に決めておく。決まっていれば、あいだは見なくて済みます。
まとめ
- 肩書きを渡すときは、決定権と情報をセットで渡す
- 範囲は小さくてよい。線が引いてあることが重要
- 作業ではなく領域ごと渡すと、気づく仕事も移る
- 判断材料を渡さないと、失敗は能力のせいに見えてしまう
- 取り返せる範囲の失敗を、あえて起こさせる。責めない
- 確認の形を先に決めて、あいだは見ない