部下から悪い報告が来ない上司へ。黙るのは性格ではなく、反応の積み重ね
問題を知るのがいつも遅い。これは部下の性格の問題ではなく、過去に報告したときの反応が学習された結果です。情報の流れを戻すために、上司の側で変えられることを整理しました。
- こんな人に
- 部下から悪い報告が来ない上司
- 結論
- 黙るのは性格ではなく、過去の反応が学習された結果
- 読む時間
- 約3分
トラブルを知るのが、いつも遅い。「なぜもっと早く言わなかったんだ」と言ったことがある。
このとき、原因を部下の性格に求めたくなります。報告が下手だ、責任感が足りない。ただ、同じ人が別の上司には早く報告しているということが、しばしば起こります。
つまり、これは相手の性質ではなく、関係の状態です。そして関係の状態は、上司の反応で作られています。
黙る理由は、たいてい1回の記憶
人が報告をためらうのは、過去に報告したときの反応を覚えているからです。
- 責められた。「なんでそうなった」と最初に聞かれると、次からは説明を用意してから来ます。用意する時間だけ、報告が遅れます。
- 驚かれた。感情的な反応そのものが、伝えるコストになります。
- すぐ手を出された。報告した瞬間に取り上げられると、次は自分で解決してから伝えようとします。
- 何も起きなかった。伝えても動かないなら、伝える意味がありません。
どれも悪意のある反応ではありません。ただ、受け取る側は正確に学習します。
変えられるのは、最初の10秒
やることは1つだけです。悪い報告が来たとき、対処より先に「早く言ってくれて助かった」と言う。
順番が大事です。事情を聞くのも、対策を考えるのも、そのあとで構いません。最初の10秒で何を言うかが、次の報告の速さを決めます。
これを3回続けると、情報の流れが変わります。逆に、1回でも責めると、そこまでの積み上げが戻ります。
「なぜ」ではなく「いま何が起きているか」
聞き方にも順番があります。
- まず、状況。いま何が起きているか、どこまで進んでいるか。事実だけを聞きます。
- 次に、必要なもの。何があれば動けるか。判断か、人か、時間か。
- 最後に、原因。ここは、落ち着いてからで間に合います。しかも、対処が済んでからのほうが正確に分かります。
「なぜ」を最初に置くと、相手は説明の準備を始めます。説明の時間は、対処の時間ではありません。
報告してほしい水準を、先に伝えておく
もうひとつ効くのが、基準を渡しておくことです。
「これくらいで報告していいのか」が分からないと、人は判断に迷って遅れます。「1日遅れそうなら、その時点で教えてほしい」のように、線を数字で決めておく。迷う余地がなくなります。
あわせて、解決策がなくても報告していいと明言してください。多くの人は、対策とセットでないと報告してはいけないと思っています。
自分の反応を、確かめる方法
自分では、責めているつもりがないことがほとんどです。確かめるには、外から見るしかありません。
- 直近の悪い報告で、最初に言った言葉を思い出す。それが質問なら、どんな質問だったか。
- 報告のあと、その仕事を取り上げなかったか。取り上げると、次は隠れます。
- 信頼している部下に、直接聞く。「報告しにくいと感じることはあるか」。答えが返ってくるなら、まだ関係は生きています。
情報が上がることは、結果である
良い上司診断では、この軸だけ性質が違うものとして扱っています。ほかの5つの結果として現れる指標だからです。
期待を伝え、任せ、守り、公平に扱っていれば、悪い知らせは自然に早くなります。逆にここが詰まっているなら、原因はほかの軸のどこかにあります。
まず反応を変える。それでも変わらないなら、渡している情報と裁量のほうを見直してください。