親孝行より先に、決めておくこと
親との関わりで後悔する人の多くは、優しくできなかったことより、 話しておくべきことを話さなかったことを悔やみます。 介護、お金、住まい、そして本人の希望。切り出しにくい話ほど、判断できるうちに聞いておく価値があります。
元気なうちにしか聞けない
判断力が保たれているうちに本人の希望を聞けた家族は、いざというときに揉めません。 逆に、聞けないまま状況が変わると、子どもの側が推測で決めることになります。 そしてその推測は、しばしば兄弟間で食い違います。
切り出し方は、正面から入らなくて構いません。 ニュースや知人の話を入り口にして、「うちはどうする?」と一言だけ聞く。 全部を一度に決める必要はなく、話題にできた時点で大きく前進しています。
先回りは、相手の力を奪う
心配から、本人より先に決めてしまう。動機は善意ですが、 決める機会を奪われた側は、自分でできることが減っていくのを実感します。
「こうしたら」の前に「どうしたい?」を置く。 できることは、時間がかかっても本人にやってもらう。 口を出す範囲は、安全に関わることだけに絞ると、関係が保たれます。
尊重と放置は違う
一方で、本人の意思を尊重しすぎて必要な介入が遅れることもあります。 運転、金銭の管理、火の扱い、服薬。命や財産に関わる部分は別の扱いが要ります。
だから、関与する線をあらかじめ自分の中で決めておいてください。 線を決めておくと、その手前では堂々と尊重でき、線を越えたときには迷わず動けます。 判断力が落ちてきたときの合図も、想定しておくと初動が早くなります。
実務は、把握しているだけでも違う
遠方に住んでいて手を貸せない、仕事や自分の家庭で余裕がない。事情はさまざまです。 それでも、把握しておくだけで意味のあることがあります。
- かかりつけ医と、飲んでいる薬。
- 重要書類の場所。保険証、年金手帳、通帳、印鑑、権利書。
- 誰が主に支えているか。兄弟か、親族か、公的サービスか。
- 緊急時の連絡先。近所の人、施設、担当のケアマネジャー。
これらが分からないと、何かあったときに動きようがありません。逆に分かっていれば、遠くにいても動けます。
一人で背負うと、長く続かない
支援は長期戦です。数か月ではなく、数年から十数年になることがあります。 だから倒れないことが最優先で、これは自己中心的な考えではありません。
抱えている量を書き出して、兄弟や親族と共有してください。 見えないと、周囲は助けようがありません。金銭的な分担でも構いません。 そして地域包括支援センターのような公的な窓口は、必要になる前に一度相談しておくと、いざというときに早く動けます。
距離を取ることも、選択のうち
関係の歴史や事情によって、距離を保つことが必要な場合もあります。 それは責められる選択ではありません。
ただ、誰が担っているかだけは把握しておくと、選択肢が残ります。 関わるとしたら何ならできるか、を一つだけ決めておく。 全部か無かではなく、できる範囲を自分で定義してよいのです。
この記事は本アプリのために書き下ろした一般的な考え方の整理です。 介護保険・成年後見・相続などの制度は改正されるため、必ず公的機関の最新情報をご確認ください。 個別の事情が絡む判断は、地域包括支援センターや有資格の専門家にご相談ください。