仕事

答えを言うと、その場は進む。ただし次には残らない

教える側にとって、待つのは苦しい時間です。ただ、自分でたどり着いた経験だけが、次に使える形で残ります。

この記事について
こんな人に
つい答えを言ってしまう指導役の人
結論
教えた答えは1問にしか使えない。詰まったら10秒だけ待つ
読む時間
約3分

相手が詰まっている。答えは分かっている。

ここで言ってしまうと、その場は進みますが、次に使える形では残りません

しかも、教えた側には伝わった実感が残ります。だから、次も同じことが起きます。

待つのは、教える側が苦しい

まず、事実を認めておきます。

待つのは、教える側にとって苦しい時間です。沈黙が長く感じる。時間も押している。

だから、親切心で答えを言ってしまいます。悪意ではありません。

ここには、もう1つ理由があります。答えを言うのは、教える側にとって気持ちがいい。役に立った感覚がすぐ返ってくるからです。待つほうには、それがありません。

自分で出した答えだけが、残る

それでも待つ理由は、これです。

教えられた答えは、その場では分かりますが、次に思い出せません。自分でたどり着いた経験には、途中の道筋が残ります。

そして、道筋があると、別の問題にも使えます

教えられた答えは、その1問にしか使えません。自分で見つけた道筋は、次の問題にも持っていけます。この差が、半年後に大きく開きます。

10秒、待つ

具体的な一手です。

詰まっているとき、10秒だけ待ってみる

実際に数えると、かなり長く感じます。ただ、その10秒で答えが出ることは、思ったより多い

待っているあいだの態度も、効きます。相手を見ない。じっと見られると、考えるどころではなくなります。手元の資料に目を落とすくらいでちょうどいい。

待つのではなく、絞る

ずっと待てばいい、という話でもありません。

完全に止まっているときは、ヒントで範囲を狭める。「ここまでは合っています」「この部分をもう一度見てください」。

答えではなく、探す場所を渡す。これなら、考える部分が残ります。

ヒントの出し方には、順番があります。

  • まず、範囲を狭める。「この3行のどこかです」。
  • 次に、考え方を渡す。「同じ形の例を、前にやりましたね」。
  • それでも止まったら、答えを言う。そして、理由を必ず添える。

時間がないときは、言っていい

現実的な話も1つ。

締切が迫っているときに、待つのは無責任です。そういうときは答えを言う。

ただし、あとで「なぜそうなるか」を戻す。ここまでやれば、機会は失われません。

間違いを、途中で止めない

最後に、いちばん難しい部分を。

取り返しがつく間違いなら、最後までやらせる。失敗したほうが、はっきり残ります。

止めるのは、危険なとき、コストが大きいとき、他人に影響するとき。この線引きを先に決めておくと、迷いません。

まとめ

  • 答えを言うと、その場は進むが次に使える形では残らない
  • 教えられた答えは1問にしか使えない。自分で見つけた道筋は持ち運べる
  • 詰まったら10秒待つ。そのあいだ、相手をじっと見ない
  • 止まったら、範囲を狭める→考え方を渡す→答えを言う、の順
  • 時間がないときは答えを言っていい。ただし、あとで理由を戻す
  • 取り返しがつく間違いは最後までやらせる。そして責めない

そして、失敗したあとに責めない。やらせたのはこちらです。責めると、次から自分で試さなくなります。

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