独立の成否を分けるのは、技術でも資金でもなく顧客の当て
起業の成否をもっとも強く分けるのは、技術でも資金でもなく顧客の当てです。会社にいるうちに1件だけ有料の仕事を受ける。その具体的な進め方をまとめました。
- こんな人に
- 独立・起業を考えている人
- 結論
- 技術でも資金でもなく顧客の当てで決まる。辞める前に1件受ける
- 読む時間
- 約3分
独立してうまくいかなかった話を聞くと、いちばん多いのが「顧客の当てがないまま始めた」です。技術は十分にあり、意欲もあった。売り先だけがなかった。
そして、顧客の当ては、辞める前にしか作りにくい。
3行で書けるかどうか
判定は簡単です。次の3行を書いてみてください。
- 誰が(会社名や、具体的な人物像まで)
- いくらで(金額と、支払いの頻度)
- なぜ他社ではなく自分に(相手から見た理由)
書けないなら、まだ着手は早い。3行目がいちばん重要で、ここが「安いから」しか出てこない場合は、価格競争に巻き込まれます。
そして、3行目は相手に確認できます。「なぜうちに頼もうと思ったんですか」。想定と違う答えが返ってくることも多い。
口約束は、数えない
「いいですね、ぜひお願いしたい」と言われた案件のうち、実際に発注になるのはごく一部です。
悪意ではなく、相手にとっては社交辞令の範囲だったり、社内で通らなかったりする。実際に払ってもらうまでは、当てとして数えないほうが安全です。
確かめ方があります。「いつ頃から動けそうですか」と時期を聞く。具体的な答えが返ってこないなら、まだ検討の段階です。
会社にいるうちに、1件受ける
いちばん確実な確認方法です。勤め先の副業規程を確認したうえで、有料の仕事を1件だけ受けてみる。
ここで分かることは多い。
- 本当に払ってもらえるのか
- 自分がどれくらいの時間で仕上げられるのか
- 価格が妥当かどうか
- その作業を続けられそうか
想像で立てた事業計画より、1件の実績のほうが情報量が多い。
そして、1件では足りません。3件受けると、共通点と違いが見えます。ここまで来ると、事業の形が具体的になります。
無料で始めない
よくある失敗が、実績作りのために無料で引き受けることです。
確かに実績にはなりますが、値付けの経験が得られません。しかも、無料で受けた相手に後から請求するのは、非常に難しい。
安くてもいいので、金額をつける。低い金額なら、期間を区切って伝えておく。「最初の3か月はこの金額で、その後は改定します」。
そして、その金額でも赤字にならないかを先に計算する。実績のための1件で、資金を減らすのは本末転倒です。
最初の顧客は、たいてい既存の関係から来る
広告や飛び込みで最初の1件を取るのは、簡単ではありません。実際には、前職の関係者、知人の紹介、同業のつながりから来ることがほとんどです。
だから、独立を考え始めた時点で、社外の接点を増やしておく。これは営業活動というより、選択肢を残す作業です。
接点がないまま独立すると、単価を下げる方向にしか動けなくなります。
条件は、必ず書面で
最初の1件でも、契約書か、せめて条件を書いたメールを残してください。
- 作業の範囲(どこまでが含まれるか)
- 修正の回数と範囲
- 支払いの時期と方法
- 中断になった場合の扱い
とくに作業範囲と修正回数を書いていないと、際限なく続くことがあります。相手に悪意がなくても起きる問題です。
まとめ
- 成否を分けるのは、技術でも資金でもなく顧客の当て
- 「誰が・いくらで・なぜ自分に」を3行で書けるか
- 口約束は当てとして数えない
- 会社にいるうちに、有料の仕事を1件受けてみる
- 無料で始めない。安くても金額をつけ、期間を区切る
- 最初の1件は既存の関係から来る。接点を先に増やす