1つの部署、1つの業務、1か月。DXを小さく始める理由
全社で一斉に始めると、失敗したときに全部が止まります。小さく試すと被害が小さく、うまくいけば実例が説得材料になります。
- こんな人に
- 社内でDXを進める立場の人
- 結論
- 1つの部署・1つの業務・1か月から。成功した実例が、次の説得を不要にする
- 読む時間
- 約3分
新しい仕組みを入れるとき、どの規模から始めるか。
ここで「全社で一斉に」を選ぶと、リスクが跳ね上がります。
そして、一斉導入が選ばれる理由は、たいてい効果ではなく体裁です。全社でやるほうが、決裁が通りやすい。
大きく始めると、失敗が致命的になる
一斉導入には、はっきりした問題があります。
- 失敗したときに、全部が止まる。
- 修正できない。関わる人が多いほど、変更に時間がかかります。
- 次の提案が通らなくなる。1回大きく失敗すると、しばらく動けません。
そして、1回目から完璧に設計するのは、まず無理です。使ってみないと分からないことが多すぎます。
もう1つ、大きく始めると原因が特定できません。うまくいかなかったとき、道具のせいか、運用のせいか、部署の事情かが分からない。
小さく始める範囲
目安を1つ挙げるなら、これです。
1つの部署、1つの業務、1か月。
この範囲なら、うまくいかなくても影響が小さい。そして、1か月あれば、実際に使えるかどうかは分かります。
始める前に、「何が起きたら成功か」を1つ決めておく。「作業時間が2割減る」でも「エラーがゼロになる」でも構いません。決めていないと、判断ができません。
うまくいった実例が、いちばん強い
小さく始める、もう1つの利点です。
実例があると、説得が要らなくなります。「この部署では、この作業が月10時間減りました」。これ以上の材料はありません。
そして、実例を作った現場の人が、次の現場に説明してくれます。推進側が説明するより、はるかに通ります。
協力してくれる現場を、選ぶ
始める場所の選び方も、重要です。
- 困っている度合いが高い。変える理由がある場所を選ぶ。
- 協力的な人がいる。反対が強い場所から始めない。
- 効果が測れる。時間や件数が数えられる業務を選ぶ。
最初の1つは、成功させることが目的です。難しい場所は、あとで足ります。
あわせて、やめる条件も先に決めておく。「1か月使われなかったら中止」。決めておくと、だらだら続けずに済みます。
試したものを、放置しない
注意点を1つ。
小さく試すのが得意な人は、試したものをそのままにしがちです。試作が積み上がって、どれも定着していない。
うまくいったものは、運用のルールを決めて渡す。誰が入力するか、誰が見るか、困ったら誰に聞くか。ここまでやって、完了です。
そして、うまくいかなかったものは、記録して終わらせる。「試して、合わなかった」も情報です。放置すると、次に同じことを試す人が出ます。
広げるのは、3か月後
最後に、順番を。
1か月試して、3か月後にまだ使われていたら広げる。この確認を挟むと、失敗の拡散が防げます。
まとめ
- 一斉導入が選ばれる理由は、効果ではなく決裁の通りやすさのことが多い
- 大きく始めると、うまくいかなかった原因も特定できない
- 1つの部署、1つの業務、1か月から始める
- 始める前に「何が起きたら成功か」と、やめる条件を決めておく
- 最初の1つは成功させることが目的。困っていて協力的な場所を選ぶ
- うまくいったものは運用ルールを決めて渡す。だめだったものは記録して閉じる
自分の立ち位置は、DX適性診断で確認できます。