「残り1点」は実データか。煽りの表示を点検する
カウントダウン、残数表示、閲覧人数。演出そのものではなく、実データに基づいているかどうかが分かれ目です。
- こんな人に
- 販促の表示を設計する人
- 結論
- 問題は演出ではなく、その数字が事実かどうか
- 読む時間
- 約3分
「残り1点」「あと10分」「12人が見ています」。
これらの表示は、実際に効きます。だから広く使われています。ただ、点検すべき基準がひとつあります。
そして、この基準は好みの問題ではありません。
実データかどうかが、分かれ目
問題は演出そのものではありません。表示している内容が、事実かどうかです。
- 更新すると元に戻るカウントダウン。期限がないのに、あるように見せています。
- 常に「残り1点」。在庫と連動していない表示です。
- 根拠のない閲覧人数。乱数で生成しているケースがあります。
事実でない表示は、法令上の問題になり得ます。景品表示法などが関わります。
なお、この記事は法的な判断ではありません。実際の適否は、法務や専門家と一緒に確認してください。
点検は、出どころをたどるだけ
やることは単純です。
表示している数字を1つずつ挙げて、それぞれの出どころを確認する。在庫データか、実際のアクセス数か、固定値か。
固定値や生成した値が出てきたら、そこは外すか、実データに置き換える。説明できない数字を出さない、というだけの基準です。
そして、いつ誰が入れたか分からない表示が出てくることがあります。担当者が変わって、根拠が失われている。これも点検の対象です。
事実でも、繰り返すと効かなくなる
実データであっても、注意点があります。
毎回セール、常に残りわずか。これでは、表示が意味を持たなくなります。効かなくなるだけでなく、信用が減ります。
緊急性の演出は、本当に緊急なときに取っておくほうが、結果的に効きます。
利用者は、思っているより早く学習します。2回目には、その表示を無視するようになります。
判断の時間を奪う設計
もう少し広く見ると、この項目は「考える時間を奪う設計」のことです。
- カウントダウン。比較する時間を減らします。
- ステップの途中で急かす表示。戻って確認する気を削ぎます。
- 「この価格は今だけ」。根拠がなければ、単なる圧力です。
急いで決めた購入は、後悔と返品につながりやすい。ここでもコストは遅れて来ます。
外したときの数字を、測ってみる
外すのが怖い、という声はあると思います。だから、測ります。
期間を区切って、煽りの表示を外したときの数字を見る。転換率だけでなく、返品率、問い合わせ数、継続率も一緒に見てください。
合計で判断すると、違う結論が出ることがあります。
見る期間も、1か月では足りません。返品や解約は遅れて出るので、3か月程度は見る必要があります。
正しい緊急性の伝え方
最後に。伝えるべき緊急性は、実際にあります。
本当に在庫が少ない、本当に期限がある。その場合は、堂々と伝えていい。事実だからです。
まとめ
- 問題は演出そのものではなく、表示が事実かどうか
- 表示している数字の出どころを、1つずつたどる
- 根拠が失われた古い表示が残っていることがある
- 事実でも繰り返すと効かなくなり、信用が減る
- 外したときは、転換率だけでなく返品・問い合わせ・継続率も3か月見る
- 基準は「あとから説明できるかどうか」
違いは、あとから説明できるかどうか。この基準を持っておけば、判断に迷いません。自社の状態は、ダークパターン診断で確認できます。