組織の中からルールを変える。嫌われずに例外を通す5つの手順
おかしいと思ったものを変えたい。けれど正面から反対するだけでは、たいてい通りません。代案を用意する、味方を先に作る、人ではなく手順の名前で提案する。中から変える人が使っている順番をまとめました。
- こんな人に
- 社内の古いルールを変えたい人
- 結論
- 正面から反対しない。代案・味方・手順の順で、例外から通す
- 読む時間
- 約3分
おかしいと思う手順がある。けれど辞めるほどではないし、黙って従うのも違う気がする。
この位置にいる人を、アウトロー診断では内側の反逆者と呼んでいます。組織の外に出ずに、中から書き換えにいく型です。地味ですが、いちばん長く残る変化を作るのはこの型です。
ただし、正しさだけでは通りません。順番があります。
手順① 反対する前に、代案を1つ用意する
これだけで通り方が変わります。反対意見は、それ自体が相手の仕事を増やすからです。「では、どうすれば」を相手に考えさせた時点で、話は止まります。
代案は完璧でなくてかまいません。叩き台があると、議論が「やるかどうか」から「どうやるか」に移る。この移動が起きれば、半分は通っています。
注意したいのは、代案を出す相手を間違えないこと。決められない人にいくら説明しても、話は進みません。
手順② 味方を、先に2人つくる
ひとりで正しいことを言い続けると、体力が先に尽きます。この型がつぶれるのは、たいてい論破されたからではなく、消耗したからです。
必要なのは多数派ではありません。2人で十分です。会議で「私もそう思っていました」と言ってくれる人がひとりいるだけで、その意見は個人の不満から共通の課題に変わります。
味方は、会議の場で作るものではありません。会議の前に、個別に話しておく。根回しという言葉に抵抗があるかもしれませんが、これは相手に考える時間を渡す行為です。突然聞かされた提案に賛成できないのは、当然のことです。
手順③ 人ではなく、手順の名前で提案する
「あの人のやり方が問題です」と言った瞬間に、話は人格の争いになります。そうなると、内容が正しくても通りません。相手が守るのは、手順ではなく自分の面子になるからです。
言い換えます。「この承認フローに、こういう場面で詰まりが出ています」。主語を人から手順に移すだけで、相手は一緒に直す側に回れます。
これは相手のためだけではありません。属人化しない形で提案されたものは、提案者が異動したあとも残ります。人の名前がついた改善は、その人が抜けると消えます。
手順④ 例外申請を、1回目の実績にする
いきなり制度改定を求めると、話が大きくなりすぎて誰も決められません。順番があります。
- 1回目。例外として申請し、記録に残る形で通す。ここで結果を出します。
- 2回目。同じ例外がまた必要になったことを示す。1回なら特殊事情ですが、2回なら構造です。
- 3回目。ここで改定を提案する。実績が2つあるので、議論は「本当に必要か」ではなく「どう書くか」から始まります。
急がば回れに見えますが、この順番のほうが結局は速い。いきなり改定を求めて否決されると、次に持ち出すまで半年待つことになります。
手順⑤ 通ったら、自分の手柄にしない
最後です。変更が通ったとき、それを自分の成果として語りすぎないほうがいい。
理由は2つあります。ひとつは、決めた人の顔を立てたほうが、次も通りやすくなること。もうひとつは、手柄のついた制度は、その人が嫌われたときに一緒に否定されるからです。
静かに残るほうが、長く効きます。この型の割に合わないところであり、同時に強いところでもあります。
それでも通らないときの、線引き
全部やっても通らないことはあります。そのときに確認したいのは、通らない理由がどちらかです。
- タイミングの問題なら、待つ。人が代わる、事故が起きる、外から指摘が入る。前提が変われば、同じ提案が通ります。持っておいた資料は無駄になりません。
- 構造の問題なら、諦めるか、離れる。変える権限を持つ人が変える気がない場合、中からの提案では動きません。ここで消耗し続けるのが、いちばんもったいない。
見分け方はひとつ。同じ提案を、3回別のタイミングで出してみる。3回とも同じ理由で止まるなら、それは構造です。
自分が中から変える型なのか、外に出て動く型なのかは、アウトロー診断で確認できます。向いていない戦い方を選ぶと、正しくても消耗するだけです。