マズローの欲求階層は、法則ではなく枠組み
下の段が満たされないと上に行けない、とは限りません。順番は人によって違います。それでも枠組みとして役に立つ理由をまとめました。
- こんな人に
- マズローの欲求階層を使いたい人
- 結論
- 法則ではなく枠組み。順番どおりに進むとは限らない
- 読む時間
- 約3分
マズローの欲求階層は、ピラミッドの図で有名です。ただ、この図には注意点があります。
厳密に検証された法則ではありません。仮説として提示され、広く使われるようになった枠組みです。
この前提を知っておくと、使える場面と使えない場面が分かります。
順番どおりに進むとは限らない
実際には、階層どおりでない例がいくらでもあります。
- 生活が苦しいなかで、創作を続ける人。下の段が薄くても、自己実現に向かっています。
- 安定しているのに、意味を見失う人。下が満たされても、上が自動では来ません。
- 承認を求めずに、人のために動く人。段を飛ばしているように見えます。
つまり、「下が満たされないと上に行けない」は、事実ではありません。
そして、複数の段が同時に動くこともあります。仕事で認められながら、居場所がない。段は積み木というより、複数のつまみに近い。
それでも、枠組みとして役に立つ
では、なぜ使うのか。理由は1つです。
足りていないものを、分けて見られるから。「調子が悪い」をひとまとめにすると、何をすればいいか分かりません。6つに分けると、どこが薄いかが見えます。
そして、下から手をつけるほうが、たいてい効率がいいのも事実です。睡眠が足りない状態で意味を考えても、答えは出にくい。法則ではなく、経験則としては有用です。
もう1つの利点として、「調子が悪い」に名前がつきます。名前がつくと、対処を探せるようになります。
優劣の順位ではない
もう1つ、外しておきたい誤解があります。
ピラミッドの図は、上のほうが偉く見えます。ただ、段は状態であって、人の格ではありません。
自己実現の段にいる人が、安全の段にいる人より優れているわけではない。環境が変われば、誰でも下から崩れます。
それに、同じ人でも日によって重心が変わります。段は、その人の属性ではなく、その時期の状態です。
崩れたら、土台に戻る
この枠組みがいちばん役に立つのが、崩れたときです。
転職、引っ越し、家族の状況、体調。何かが変わると、下の段から崩れます。そのときにやるべきなのは、上の段を維持しようとしないことです。
自己実現を続けようとして、睡眠や生活を犠牲にする。これがいちばん壊れます。まず土台に戻る。それができる人は、何度でも戻ってこられます。
戻ることは、後退ではありません。同じ段をもう一度通るだけです。
他人に、段を求めない
最後に。この枠組みを人に向けて使うときは、注意が要ります。
土台が薄い人に「もっと大きな目的を持て」と言っても、届きません。段が違うと、必要なものが違うからです。
使い方としては、自分の状態を分けて見るため。他人を評価する物差しにはしないほうが、この枠組みは長く役に立ちます。
まとめ
- 厳密に検証された法則ではなく、広く使われている枠組み
- 順番どおりに進むとは限らず、複数の段が同時に動くこともある
- それでも、足りないものを分けて見る道具としては役に立つ
- 「調子が悪い」に名前がつくと、対処を探せる
- 段は人の格ではなく、その時期の状態。日によっても変わる
- 崩れたら土台に戻る。それは後退ではない
自分の重心は、マズローの6段階欲求診断で確認できます。