責任の切り分け方。事実・領分・対策の3段で書き出す
揉めごとが長引くのは、事実の確認と責任の話と対策の話が同時に進むからです。順番に分けるだけで、同じ材料から違う結論が出ます。会議でも一人の振り返りでも使える型です。
- こんな人に
- 責任の話がこじれやすい人
- 結論
- 事実・領分・対策を、順番に分けて書き出す
- 読む時間
- 約3分
トラブルの振り返りが長引くとき、たいてい3つの話が同時に走っています。何が起きたのか、誰の領分だったのか、次にどうするか。この3つを混ぜたまま話すと、結論が出ません。
なぜ混ざると進まないのか
事実の話をしている最中に責任の話が入ると、参加者は守りに入ります。守りに入った人は、事実を正確に出せなくなります。
つまり、責任の話を先にすると、事実の精度が下がる。そして精度の低い事実の上で決めた対策は、たいてい的を外します。
第1段:何が起きたか(事実だけ)
時系列で、観測できたことだけを書きます。ここには誰の名前も、評価も入れません。
- 「◯日にAの依頼が来た」「◯日に確認の返信をした」「◯日に納品した」
- ×「Aの依頼が急すぎた」——これは評価です。第1段には入れません。
この段階のコツは、形容詞を使わないことです。「遅い」「雑」「無茶」が出てきたら、事実ではなく評価が混ざっています。
第2段:どこが誰の領分だったか
事実が並んでから、初めて範囲の話をします。ここで使うのは3分割です。
- 自分の領分。自分の判断・行動で動かせた部分。
- 相手の領分。他の人の判断で決まっていた部分。
- 誰の領分でもない部分。制度、天候、市場、決まっていなかったルール。
ここで重要なのは、3つ目を必ず置くことです。この枠がないと、誰の領分でもないものが自分か相手のどちらかに押し込まれます。揉めごとの多くは、ここで起きています。
そして、割合を出す必要はありません。「何%が誰のせい」を決めようとした瞬間、話は対立に戻ります。
第3段:次にどうするか
最後に対策です。ここでのコツは、領分ごとに違う打ち手を書くこと。
- 自分の領分 → 行動を変える。期日つきで具体的に。
- 相手の領分 → 依頼か交渉。自分が頑張っても動きません。誰に何を伝えるかを書く。
- 誰の領分でもない部分 → 仕組みを作る。決まっていなかったなら、決める。これがいちばん効く場面が多い。
3つ目に手を入れると、同じ問題が個人に依存しなくなります。再発防止として最も強いのは、たいていここです。
会議でこの型を使うとき
- 第1段だけを先にやる会を分ける。同じ場でやると、どうしても責任の話が入ります。
- ホワイトボードに3つの見出しを書いておく。話が飛んだとき、「それは第2段の話ですね」と戻せます。
- 司会が形容詞を止める。「遅い、というのは何日でしたか」と事実に戻す。
- 第3段は、担当と期日まで書いて終わる。書かないと実行されません。
一人の振り返りでも同じ
自分だけで振り返るときも、この順番が効きます。とくに自分を責めやすい人には効果があります。
第2段の3分割を書くと、自分の領分でないものが目に見える形で外れるからです。頭の中だけで振り返ると、全部が自分の領分に見えます。紙に書くと、そうでないことが分かります。
まとめ
- 事実・領分・対策を混ぜると、事実の精度が落ちて対策が的を外す
- 第1段は形容詞を使わず、観測できたことだけ
- 第2段は「自分/相手/誰の領分でもない」の3分割。割合は出さない
- 「誰の領分でもない」枠がないと、揉めごとになる
- 第3段は領分ごとに打ち手を変える。仕組み化がいちばん効く
- 一人の振り返りでも、書き出すと自分の領分でないものが外れる