音楽の好みは、聴いてきた時代で決まるのか。年代から探し直す方法
同じ「ロック」でも、1965年と2025年ではまったく別の音がします。音楽の手触りを決めているのはジャンル名ではなく、そのとき使えた録音技術です。年代を座標にして探し直す方法をまとめました。
- こんな人に
- 音楽の好みを言葉にしたい人
- 結論
- 同じジャンルでも年代で音が違う。時代から探し直す
- 読む時間
- 約3分
新しい音楽を探そうとしてジャンル名で検索し、よく分からないまま戻ってくる。多くの人が経験していると思います。
原因ははっきりしています。ジャンル名が、音の手触りをほとんど説明していないからです。同じ「ロック」という名前の中に、静かなものと爆音のもの、1965年のものと2025年のものが同居しています。名前は残りますが、中身は10年ごとに入れ替わります。
もっと当たる座標があります。年代です。
音の質感は、そのとき使えた機材で決まる
音楽の聞こえ方を決めているのは、作った人の感性だけではありません。そのとき何ができたか、という技術のほうが、じつはずっと大きく効いています。
- 1950〜60年代。少ないマイクで一斉に録るのが基本でした。音がひとかたまりで前に出てきて、演奏の一体感が強く出ます。粗さもそのまま残ります。
- 1970年代。多くのトラックを重ねられるようになり、長い曲や凝った構成が増えました。1曲が10分を超えるものが珍しくなくなります。
- 1980〜90年代。電子楽器と打ち込みが主役に。輪郭がはっきりした、整理された音になります。
- 2000年代以降。家でも作れるようになり、作り手の数が桁違いに増えました。国も地域も混ざっていきます。
つまり、年代を選ぶことは、音の質感を選ぶことです。「生の手触りが好き」と感じている人が探すべきなのは、特定のジャンルではなく、年代のほうだった、ということが起こります。
「懐かしい」と「合っている」は違う
よく言われるのが、10代の終わりから20代前半に聴いた音楽が一生の好みを決める、という話です。実感としては、当たっている部分があります。
ただ、これをその年代しか合わないと読むと、もったいないことになります。実際に起きているのは、次の2つが混ざった状態です。
- 思い出としての結びつき。その曲を聴いていた時期の記憶と一緒に効いています。これは代わりがききません。
- 音の質感としての相性。その年代の録音の手触りが、単純に自分に合っている。こちらは別の国や別のジャンルでも代わりが見つかります。
後者に気づくと、探せる範囲が一気に広がります。「1970年代のあの感じ」が好きなら、同じ年代の別の国を探せばいい。日本、イギリス、ブラジル、ナイジェリア。同じ時代の録音は、国が違っても質感が近いことが多いのです。
年代から探すときの、具体的な手順
難しいことはありません。3ステップで足ります。
- ① 好きな1曲の発売年を調べる。演奏者ではなく、年です。ここが起点になります。
- ② その年の前後3年に絞る。同じ機材、同じ流行の中にいた音楽が集まります。
- ③ 国を1つだけずらす。年代を固定したまま国を変えると、既視感と新鮮さがちょうどよく混ざります。
この手順が効くのは、外れが少ないからです。関係のない新譜を100曲流すより、同じ年代の30曲を聴いたほうが、当たりの数は多くなります。
古い録音が聴きにくいと感じたら
年代をさかのぼると、音がこもって聞こえることがあります。これは慣れの問題であることが多いのですが、環境で改善できる部分もあります。
- 再発盤やリマスターを選ぶ。同じ演奏でも、聞こえ方がかなり変わります。
- 音量を少し上げる。古い録音は、いまの基準より小さく作られていることがあります。
- ながら聴きをやめて、1曲だけ集中して聴く。情報量が少ないぶん、聴くと入ってきます。
それでも合わなければ、その年代は合わないというだけです。無理に慣れる必要はありません。
いまの自分に合う年代は、変わる
最後にひとつ。音楽の好みは固定ではありません。
忙しい時期には情報量の少ない音楽が、余裕のある時期には複雑な音楽が合います。好みが変わったのではなく、必要なものが変わっただけです。
自分がいまどの年代・どの国と噛み合うかは、おすすめ音楽診断で確認できます。ジャンル名を知らなくても答えられる設問にしてあります。