国が変わると、リズムが変わる。世界の音楽を国から探す入口
ジャンルを変えても飽きるのに、国を変えると新鮮に聞こえる。理由は、リズムの取り方が国ごとに違うからです。歌詞を聴かない人ほど世界が広がる、という話も含めて整理しました。
- こんな人に
- 聴く音楽がマンネリな人
- 結論
- ジャンルではなく国を変えると、リズムの取り方から変わる
- 読む時間
- 約3分
音楽に飽きたと感じるとき、たいていはジャンルの中を横に移動しています。ロックからポップスへ、ポップスからR&Bへ。それでもあまり景色が変わらないのは、同じ国の、同じリズムの上を動いているからです。
座標をひとつ変えるだけで、これが一気に変わります。国です。
手拍子を打つ場所が、国によって違う
専門的な説明を抜きにして言えば、国が変わると体が乗る場所が変わります。
欧米のポピュラー音楽の多くは、2拍目と4拍目に重心があります。西アフリカやブラジルの音楽は、拍の分け方そのものが違い、いくつものリズムが同時に走っています。キューバの音楽には、繰り返される独特の型があります。
だから、知らない国の音楽を聴くと、体の反応が変わります。ジャンルを変えても起きないことが、国を変えると起きるのはこのためです。
歌詞を聴かない人ほど、世界が広い
ここが重要なところです。おすすめ音楽診断でも、結果をいちばん大きく左右するのが歌詞への比重でした。
- 言葉を強く聴く人。母語の音楽が有利です。訳では届かないものがあるので、日本語のうたを深く掘るほうが満足度が上がります。弱点ではなく、そういう聴き方だというだけです。
- 言葉をあまり聴かない人。世界中が候補になります。意味が分からないことが損になりません。むしろ、言葉が意味として入ってこないぶん、声を楽器として聴けます。
後者の人が「聴くものがない」と言うのは、たいてい探し方を知らないだけです。候補は、地球の数だけあります。
国から探すときの、始めやすい入口
いきなり世界地図を広げても迷うので、リズムの手触りがはっきり違う地域から挙げます。
- ブラジル。サンバとボサノヴァ。1960〜70年代の録音は、静かなのにリズムが複雑という珍しい組み合わせです。作業中にも合います。
- キューバ・カリブ。サルサ、ソン。高揚を求める人に向いています。人と分かち合う音楽として作られています。
- 西アフリカ。ナイジェリア、マリ、セネガル。1970年代のアフロビートは、長尺で反復する構造なので、聴き流しにも没入にも耐えます。
- ジャマイカ。レゲエ、ダブ。1970年代のダブは、音を引き算していく作り方で、いまの電子音楽の源流のひとつでもあります。
- 北欧・アイスランド。静かな音楽が厚い地域です。ひとりで聴きたい人に向いています。
探し方は「国名 + 年代」。この2語で検索するだけで、地図と年表の交点に立てます。
日本を、外から見てみる
もうひとつ面白いのが、日本の音楽を国という座標で見直すことです。
1980年代の日本の環境音楽や、同時期のポップスは、いま海外で聴き直されている領域です。国内では長く忘れられていたものが、外から評価されて戻ってきた、という流れがいくつもあります。
身近な場所にも、まだ掘られていない年代がある。海外に目を向けることと、これは矛盾しません。
一度で分からなくても、失敗ではない
知らない国の音楽は、最初はとっかかりがありません。リズムの取り方が違うので、体が乗る場所を探している状態になります。
目安として、3回聴いてみる。1回目は情報が多すぎて分からず、2回目で構造が見え、3回目で乗れることがよくあります。それでも合わなければ、次の国へ行けばいいだけです。
自分が国から掘るタイプかどうかは、おすすめ音楽診断で確認できます。歌詞への比重が低く出た人は、この方向がいちばん効きます。