足すのは誰でもできる。切れる人が少ない
要望は必ず増え、増えた分は期限か品質を削ります。切る判断を通すための書き方と、切ったものの置き場所についてまとめました。
- こんな人に
- 要望が増え続けるプロジェクトの担当者
- 結論
- 足すときに何を削るかを同時に決める。「入れないもの」を書いて共有する
- 読む時間
- 約3分
プロジェクトの成果を決めているのは、何を入れたかより何を入れなかったかであることが多い。ところが、切る仕事は評価されにくく、しかも嫌われます。
そして、切らなかった結果は、あとから誰の判断だったか分かりません。
増えた分は、必ずどこかを削る
要望が1つ増えれば、期限が延びるか、品質が落ちるか、誰かの負荷が増えます。これは物理的な話で、気合いでは埋まりません。
ところが会議の場では、この交換が見えません。「これも入れましょう」という発言に、コストが表示されないからです。
足すときに、何を削るかを同時に決める。これだけで、無制限の追加は止まります。
言い方は、「入れます。そのかわり、どれを外しますか」。断っていないので、角が立ちません。
「入れないもの」を明文化する
口頭で「今回はやめましょう」と言っただけでは、2週間後には復活しています。悪意ではなく、単に忘れるからです。
効くのは、入れないものを書いて共有すること。書いてあると、戻すには理由が要ります。この摩擦が効きます。
書き方も重要で、「やらない」ではなく「今回は入れない」にする。永久の否定にすると、反発が大きくなります。
そして、入れないものは最初に共有する。途中で出すと、削られたように受け取られます。
切ったものの、置き場所を作る
いちばん効くのがこれです。
「今回入れないが、次に検討する」という枠を用意しておく。そこに書き留めて、次の計画時に必ず見る。この枠があるだけで、切ることが拒否ではなくなります。
提案した人にとっては、無視されたのではなく、順番待ちになったという理解になります。
ただし、その枠を実際に見る。一度も見返さないと、次からは信用されません。
切る理由は、優先順位で語る
「必要ないから」と言うと、提案者への否定になります。
かわりに、「今回の目的に対して、優先度が3番目だから」と言う。目的が共有されていれば、これは反論しにくい。
だから、切る作業の前に目的を合意しておく必要があります。目的が曖昧なままだと、切る判断はすべて主観に見えます。
切れないときは、目的が決まっていない
何も切れない、という状態が続くなら、原因は交渉力ではありません。
目的が「全部やること」になっている可能性が高い。この状態では、優先順位をつける根拠がありません。
「今回、何が達成できれば成功か」を1行で書く。書けないなら、そこから決めるのが先です。
書いたら、関係者に見せて合意を取る。自分の中だけで決めた目的は、切る根拠になりません。
切ったあとの段取りを、誰が持つか
最後に。切る判断が得意な人は、切ったあとの進行が手薄になりがちです。
判断は正しいのに、運び方で崩れる。切ったあとの段取りを誰が持つかを、先に決めておく。自分でやるか、渡すか。決めておかないと、宙に浮きます。
まとめ
- 増えた分は、期限か品質か誰かの負荷を必ず削る
- 足すときに、何を削るかを同時に決める
- 「入れないもの」を書いて共有する。口頭では2週間で復活する
- 「今回入れないが、次に検討する」の置き場を作る
- 切る理由は、必要性ではなく優先順位で語る
- 何も切れないときは、目的が決まっていない