起きなかった事故は数えられない。先読みが評価されない理由
リスクを先に潰す人は、成果が見えません。評価に乗らないこの仕事を、記録に残す方法と、止める人から進める人に変わる書き方をまとめました。
- こんな人に
- 先回りしてリスクを潰す仕事の人
- 結論
- 防いだ成果は記録に残らない。着手前に3つ書き、打った手と理由を残す
- 読む時間
- 約2分
問題が起きる前に手を打つ人は、目立ちません。成果が「起きなかったこと」の形をしているからです。そして、起きなかったことは数えられません。
この非対称は、あらゆる場所で起きます。防いだ人より、直した人のほうが目立つ。
火事を消す人が、評価される
トラブルが起きたとき、徹夜で対応した人は評価されます。目に見えて、しかも劇的だからです。
一方、そのトラブルが起きないように3か月前に手を打った人は、何もしていないように見えます。同じ問題を扱っているのに、評価が逆転する。
これは仕組みの限界であって、誰かが悪いわけではありません。ただ、放っておくと先読みする人が減ります。
そして、減ったことにも気づけません。トラブルが増えた理由が、先読みする人がいなくなったことだとは分からないからです。
記録に残すしかない
見えるようにする方法は、書くことだけです。
- 着手前に、想定したリスクを3つ書く。あとで「予見していた」と示せます。
- 打った手と、その理由を残す。「◯◯のリスクがあったので、△△に変更した」。
- 起きなかったことを、定期的に共有する。「今期、この判断で◯件の手戻りを防ぎました」。
自慢に見えるのが嫌なら、事実だけを淡々と並べる。判断は読む人に任せればよい。
書く場所は、チームが見られるところにしてください。個人のメモに残しても、評価にも引き継ぎにも使えません。
「それでも進める条件」まで書く
リスクを指摘する人は、止める人と見なされがちです。指摘だけで終わると、そう受け取られます。
効くのは、リスクを挙げたら必ず「それでも進める条件」まで書くことです。
「この方法だと納期が読めません。ただし、◯◯を先に決めてもらえれば進められます」。この形にすると、止める人から進める人に変わります。
そして、条件が満たせないなら、それも判断材料です。「決められない」と分かった時点で、進め方を変える理由になります。
3つだけ書く、という制約
リスクは、挙げようと思えばいくらでも挙がります。全部挙げると、誰も読みません。
影響の大きい順に3つだけ。この制約があると、優先順位を考えることになります。そして3つなら、対策も打てます。
順位をつけるときは、起きる確率ではなく、起きたときの影響を先に見てください。確率は当てになりませんが、影響は見積もれます。
過去の失敗を、資産にする
先読みの精度は、経験の量で決まります。ただし、経験を記録していないと積み上がりません。
プロジェクトが終わったら、起きた問題と、その予兆を短く残す。予兆のほうが重要です。次に同じ予兆を見たときに気づけます。
個人で貯めるより、チームで共有できる場所に置くほうが価値が出ます。
まとめ
- 先読みの成果は「起きなかったこと」なので、評価に乗らない
- 火事を消す人が評価され、火事を防いだ人は見えない
- 着手前にリスクを3つ書き、打った手と理由を残す
- リスクを挙げたら「それでも進める条件」まで書く
- 3つだけに絞ると、優先順位が決まり対策も打てる
- 起きた問題より「予兆」を記録する。次に気づける