初期値のオンは、選ばれたのではなく選ばれなかっただけ
多くの人は初期値を変更しません。だから数字は伸びます。ただ、後から気づかれたときの反応がいちばん大きい領域でもあります。
- こんな人に
- 初期設定やオプションを設計する人
- 結論
- 初期値でオンのものは、選ばれたのではなく選ばれなかっただけ
- 読む時間
- 約3分
オプションが最初から入っている。メール配信が既定でオン。カートに関連商品が自動で追加される。
これらは確実に数字を伸ばします。理由は単純で、多くの人は初期値を変更しないからです。
だからこそ、初期値の設計は、いちばん影響が大きく、いちばん自覚されにくい領域になります。
初期値は、選択ではない
ここが、この問題の核心です。
初期値でオンになっているものは、利用者が選んだわけではありません。選ばなかっただけです。
だから、あとから気づかれると「勝手に付けられた」という体験になります。これは、ほかのどのパターンより反応が大きい。
そして、気づかれるのは、たいてい請求の場面です。金額と一緒に届くので、印象が強く残ります。
後から気づかれたときのコスト
- 即時の解約。気づいた時点で、サービス全体への信頼が落ちます。
- 返金の要求。対応コストがかかり、認めれば売上も戻ります。
- 悪い評判。この種の体験は、共有されやすい。
短期の売上と、これらを比べているか。比べていない組織が多い領域です。
比べるための数字も、社内にあります。そのオプション経由の解約率と、問い合わせ件数。売上だけを見ていると、判断の材料がそろいません。
点検は、書き出すだけ
やることは単純です。
初期状態でオンになっている項目を、すべて書き出す。そして、それぞれについてなぜオンなのかを説明できるかを確認する。
説明できるものもあります。「セキュリティ設定は、オンのほうが利用者の利益になる」など。説明できないものだけ、オフにする。
判断の基準は1つです。「利用者の利益になるからオンなのか、こちらの都合でオンなのか」。書き出すと、はっきり分かれます。
有料オプションは、必ずオフから
基準を1つ挙げるなら、これです。
お金が発生するものは、利用者が選んで初めて付く。事前チェックにしない。
ここが、いちばん反応が大きい部分です。無料のオプションや、通知の設定とは、まったく扱いが違います。
メール配信の既定オン
よくある形について、もう少し。
メール配信を既定でオンにすると、配信数は伸びます。ただ、開封率と反応率は下がります。望んでいない人が含まれるからです。
そして、配信停止の手続きが面倒だと、そのまま迷惑メールとして扱われます。到達率そのものに影響することがあります。
だから、配信停止は1クリックで完了する形にしておく。手間をかけさせるほど、迷惑メール扱いが増えます。
初期値は、設計の意思表示
最後に。初期値の設定は、その組織が利用者をどう見ているかが現れる場所です。
選ばせずに取る設計か、選んでもらう設計か。これは施策ではなく、方針の話です。
まとめ
- 初期値は、選んだのではなく選ばなかっただけ
- 気づかれるのは請求の場面。印象が強く残る
- オプション経由の解約率と問い合わせ件数も、判断材料に入れる
- 「利用者の利益か、こちらの都合か」で書き出して分ける
- お金が発生するものは、必ずオフから始める
- 配信停止は1クリックで完了させる。手間は到達率に返ってくる
だからこそ、基準を文書にして残しておく価値があります。人が入れ替わっても、判断がぶれません。自社の状態は、ダークパターン診断で確認できます。