バランスドスコアカードを、10人の会社で使うには
大企業の管理手法だと思われがちですが、考え方自体は数人の組織でも効きます。売上だけを見ていると何が起きるのか、4つの視点をどう軽く運用するかをまとめました。
- こんな人に
- 数人〜十数人の会社を経営する人
- 結論
- 大企業の手法だが、考え方は小さな組織でも効く。売上だけを見ない
- 読む時間
- 約2分
バランスドスコアカードは大企業の管理手法という印象がありますが、考え方そのものは数人の組織でも効きます。仕組みを丸ごと導入する必要はありません。
売上だけを見ていると、何が起きるか
数字で管理しようとすると、まず売上と利益を見ます。当然の判断ですが、これらには共通の性質があります。すべて過去の結果であるということです。
売上が落ちたと分かった時点で、原因はすでに数か月前に起きています。顧客の不満、人の離職、仕組みの劣化。結果の数字は、手遅れになってから知らせてくれます。
だから、結果の手前にある指標も一緒に見る。これがこの枠組みの中心にある考え方です。
4つの視点
- 財務。売上、利益、資金繰り。結果として出てくる数字。
- 顧客。満足度、リピート、紹介、解約。財務の一歩手前にあります。
- 業務プロセス。納期、不良、手戻り、対応の速さ。顧客の一歩手前。
- 学習と成長。人が育っているか、離職していないか、新しいことを学べているか。すべての手前にあります。
並べると分かりますが、これは因果の連鎖です。人が育つと業務が良くなり、業務が良くなると顧客が満足し、顧客が満足すると財務が良くなる。
売上だけを見るのは、この連鎖のいちばん最後だけを見ていることになります。
小さな組織では、各1つでいい
大掛かりな仕組みは要りません。4つの視点に、指標を1つずつ置くだけで機能します。
- 財務:月次の粗利
- 顧客:継続してくれている件数、または紹介の件数
- 業務:手戻りの回数、または納期を守れた割合
- 学習:今月、誰が何を新しくできるようになったか
4つを1枚の紙に並べて、月に一度見る。それだけです。指標を増やすほど、見なくなります。
「学習と成長」が、いちばん省略される
実際に運用してみると、削られるのは必ずここです。成果が遠く、測りにくいからです。
けれど、この視点が抜けると人の消耗が数字に現れるまで気づけません。離職や不調は、業務の指標より先に人の側で起きています。
測り方は簡単でいい。「今月、新しく任せたことはあるか」「困っている人はいないか」。数字でなくても構いません。定期的に見る枠があることが本体です。
中間の立場の人にこそ、使いやすい
この枠組みは、経営者だけのものではありません。
チームを預かる立場の人が、上に説明するときの道具として使えます。「売上は下がっているが、手戻りは減っていて、新しく担当できる人が2人増えた」。結果の数字だけでは伝えられないことを、説明できる形にする。
これは、短期の数字で評価されがちな中間の立場を守る道具にもなります。
まとめ
- 売上と利益は、すべて過去の結果。分かった時点で手遅れになりやすい
- 財務 ← 顧客 ← 業務 ← 学習という因果の連鎖で見る
- 小さな組織なら、4つの視点に指標を1つずつで足りる
- 指標を増やすほど、見なくなる
- 省略されやすい「学習と成長」が抜けると、人の消耗に気づけない
- 中間の立場が、結果の数字以外を説明するための道具にもなる