肩書きは実績を示すが、いま話している内容までは保証しない
専門家が言うなら確かめずに受け入れる。肩書きはその分野での実績を示しますが、いま話している内容の正しさは保証しません。確かめ方の話です。
- こんな人に
- 専門家の言葉を確かめずに受け取る人
- 結論
- 肩書きから発言者名を消して読み直す。評価が変わるなら権威で判断している
- 読む時間
- 約3分
専門家が言っているなら、たぶん正しいのだろう。実績のある人には、反論しにくい。
この反応は自然なものです。全部を自分で検証するのは不可能なので、誰かの権威を借りるのは合理的でもあります。
だから、権威に頼ること自体をやめる必要はありません。使い方だけを決めておけば足ります。
問題は、範囲がずれること
では、何が問題になるのか。
肩書きは、その分野での実績を示します。ただ、いま話している内容の正しさは保証しません。
そして、専門外のことを語っている場合が、けっこうあります。ある分野で優れた人が、別の分野では素人だというのは、当たり前のことです。
さらに、肩書き自体が確かめられていないことがあります。自称の資格、実体のない団体、期限の切れた実績。ここは調べれば分かります。
確かめ方は、名前を消すこと
簡単な方法があります。
主張から発言者を消して、読み直してみる。名前も肩書きも消した状態で、その内容をどう評価するか。
評価が変わるなら、内容ではなく権威で判断しています。これで自分の傾向が分かります。
逆の確認も有効です。嫌いな人が同じことを言っていたら、どう評価するか。ここでも変わるなら、内容を見ていません。
確認する2つのこと
そのうえで、確認する項目を決めておくと実用的です。
- 専門分野と、話している内容が一致しているか。ずれているなら、一般人の意見と同じ扱いでよい。
- その分野の他の人も、同じことを言っているか。1人だけが言っていることは、いったん保留にする。
2つ目が効きます。「専門家が言っている」の多くは、「その専門家が言っている」だけであることがあります。
そして、反対意見を1つ探すと早い。反対する専門家がいるなら、そこはまだ確定していない領域だということです。
疑いすぎると、逆の罠にかかる
ここは、両側から見ておく必要があります。
権威を疑う姿勢が強すぎると、今度は「専門家はみんな嘘つき」という主張に引っかかります。この主張も、内容ではなく立場で判断しているという点では同じです。
そして、この方向の主張は、「本当のことを知っているのは自分たちだけ」という形につながりやすい。これは、閉じた集団が作る典型的な構造です。
答えは、どちらでもありません。内容で判断する、というだけです。
経験談は、権威ではない
もう1つ、混同されやすいものを。
「実際にこうなった人がいる」という話は、強い説得力を持ちます。ただ、1人の経験は、全体の傾向を示しません。
うまくいかなかった人の話は、たいてい表に出てきません。成功した例だけが集まる場所では、確率が実際より高く見えます。
だから、「やめた人はどこにいるか」を考える。見えていない側を数えようとするだけで、判断がかなり変わります。
反論しにくいときの、逃げ道
最後に、実務的な話を。
実績のある人に反論しにくい場面はあります。無理に対決する必要はありません。
「持ち帰って確認します」で足ります。その場で結論を出さないだけで、後から確かめる余地が残ります。
まとめ
- 権威に頼ること自体は合理的。使い方を決めておけばいい
- 肩書きは実績を示すが、いま話している内容は保証しない
- 発言者の名前を消して読み直すと、自分の傾向が分かる
- 専門分野と内容が一致しているか、他の人も同じことを言うかを見る
- 反対意見を1つ探すと、確定した話かどうかが分かる
- 「専門家はみんな嘘つき」も、内容ではなく立場で判断している
自分の傾向は、洗脳耐性診断で確認できます。