論理的に考える力は、生まれつきではなく鍛えられるのか
生まれつきの才能のように語られますが、多くの部分は手順です。前提を分ける、飛躍を見つける、反例を探す。日常で練習できる形に落として整理しました。
- こんな人に
- 論理的に考えるのが苦手だと感じる人
- 結論
- 生まれつきではなく手順。前提を分け、飛躍を見つける
- 読む時間
- 約3分
「論理的に考えられない」と悩む人は多いのですが、話を聞いてみると、たいてい手順を知らないだけです。論理的思考は才能というより、いくつかの決まった動作の組み合わせで成り立っています。
① 事実と、解釈を分ける
いちばん基本で、いちばん効く動作です。
「Aさんが返信をくれない」は事実。「Aさんは怒っている」は解釈。この二つは、日常の会話ではくっついたまま流れていきます。
分けて書き出すだけで、解釈の部分に別の可能性を入れられるようになります。忙しい、見落とした、そもそも届いていない。ここが見えると、次の行動が変わります。
② 「だから」の間に、何段あるかを数える
「価格が高い。だから売れない」。一見つながっていますが、間にはいくつか段があります。
価格が高い → 同等品と比べられている → 比べた人が価値の違いを認識していない → だから選ばれない。
段を明示すると、手を打てる場所が見つかります。この例なら、価格ではなく「価値の違いが伝わっていない」ほうに打てます。飛躍したままだと、値下げしか思いつきません。
③ 反例を、一つだけ探す
自分の結論を疑う簡単な方法です。「この主張が成り立たない場合はあるか」を一つだけ考える。
一つ見つかれば、主張には条件がついていることが分かります。条件が分かれば、どこまで言えるのかがはっきりします。
全部を疑う必要はありません。一つだけでいい、というのがこの練習の続けやすいところです。
④ 反対の立場を、一度だけ書く
賛成しない立場の人が、何を根拠にしているかを一段落だけ書いてみる。
書けないなら、その論点をまだ理解していないということです。反論できないのではなく、相手の主張を再現できていない状態です。
この練習は、議論に勝つためではなく、自分の主張の穴を見つけるために効きます。
文系・理系は、あまり関係ない
論理的思考というと理系のものだと思われがちですが、上の4つはどれも数式を使いません。
実際、文章を精密に読む訓練は、そのまま論理の訓練です。何が根拠で、何が主張で、どこが飛んでいるか。扱う対象が違うだけで、動作は同じです。
数式に強いことと、議論の筋を追えることは、それぞれ別に伸ばせます。片方が苦手でも、もう片方は鍛えられます。
日常でできる、小さな練習
- ニュースを読んだら、事実と評価に線を引く。1本につき30秒で足ります。
- 誰かの提案に賛成する前に、反例を一つ考える。言う必要はありません。
- 自分の結論を、3行で書く。根拠・つながり・主張。書けないなら、まだ整理できていません。
- 「なぜ」を2回だけ問う。5回は多すぎて続きません。2回で十分に深まります。
まとめ
- 論理的思考の多くは才能ではなく、決まった動作の組み合わせ
- 事実と解釈を分ける。分けると別の可能性が入る
- 「だから」の間に何段あるかを数えると、手を打てる場所が見つかる
- 反例を一つだけ探す。条件が分かれば、どこまで言えるかが決まる
- 反対の立場を一段落書く。書けないなら理解していない
- 文系・理系は関係ない。扱う対象が違うだけで動作は同じ