時間だけは、積み立てられない。人生会計でいちばん扱いを間違えやすい資本
お金は貯められますが、時間は貯められません。それなのに私たちは、時間を「余ったら使うもの」として扱いがちです。時間という資本の性質と、先に取り置くための具体的な方法をまとめました。
- こんな人に
- 時間の使い方を見直したい人
- 結論
- 時間は貯められない。余ったら使う資源として扱わない
- 読む時間
- 約3分
人生の資本の中で、時間だけが特殊です。増やせず、貯められず、前借りもできません。それなのに、扱いだけはいちばん雑になりがちです。
「余ったら使う」が成立しない理由
お金には「余る」ことがあります。使わなければ残る。だから、余った分で何かをしようという計画が成り立ちます。
時間にはそれがありません。使わなかった時間は残らず、消えます。そして仕事や用事は、空いた場所に流れ込む性質を持っています。だから「落ち着いたらやろう」と思っていることは、落ち着いても始まりません。落ち着いた瞬間、別のものが入ってくるからです。
この性質を理解すると、対策は一つに絞られます。先に取り置くしかない、ということです。
90分の空白を、動かせない予定にする
おすすめは、週に1回、90分だけ何も入れない枠をカレンダーに置くことです。長さは重要ではありません。重要なのは、それが動かせない予定として扱われることです。
「空いていたら休む」ではなく「休む時間に仕事を入れない」。この順番の違いが、1年経つと大きな差になります。人は、カレンダーに入っていない約束を守れません。それは自分との約束でも同じです。
時間には、3つの種類がある
同じ1時間でも、性質が違います。分けて数えると、足りないのがどれなのかが見えます。
- 売っている時間。働いて対価を得ている時間。ここが多すぎると他が消えますが、少なすぎると蓄えが減ります。
- 差し引かれる時間。通勤、手続き、待ち時間。減らせる余地がいちばん大きいのに、いちばん検討されていない部分です。
- 自分の裁量の時間。誰にも決められていない時間。人生会計で「自由に使える時間」として数えるのは、ここだけです。
多くの人が「時間がない」と言うとき、実際に足りていないのは3つ目です。そして3つ目を増やす最短経路は、たいてい2つ目を削ることにあります。働く量を減らさなくても、裁量の時間は増やせます。
時間は、他の資本に交換できる
時間という資本の面白いところは、交換レートが年齢によって変わることです。
若いうちの時間は、稼ぐ力に交換しやすい。学び、経験を積み、外に持ち出せる技能に変えられます。一方で、あとになるほどこの交換は難しくなり、代わりに健康やつながりへの交換レートが上がっていきます。
いま自分の時間を何に交換しているのか。交換先が「特にない」であれば、それは眠らせている資本です。使わなかった時間は、貯まらずに消えます。
忙しい人ほど、時間を数えていない
家計簿はつけていても、時間の使い方を1週間記録した人はほとんどいません。ところが、記録してみると多くの人が驚きます。思っていた配分と、実際の配分がまるで違うからです。
1週間だけ、30分単位でざっくり記録してみてください。正確である必要はありません。目的は反省ではなく、実態を見ることです。削れる場所は、たいてい思っていたところにはありません。
「時間ができたらやりたいこと」を先に書く
時間の使い道が決まっていないと、余白は最初に埋められます。守るためには、目的の側から押さえるのが確実です。
やりたいことを3つ書き、そのうち1つを今月のカレンダーに入れる。予定になった瞬間、それは資本の使い道になります。逆に、書かれていないものは、いつまでも「そのうち」のままです。
まとめ
- 時間は貯められず、使わなければ消える唯一の資本
- 仕事は空いた場所に流れ込む。だから先に取り置くしかない
- 週90分の空白を、動かせない予定として置く
- 時間は「売っている時間・差し引かれる時間・裁量の時間」に分けて数える
- 裁量の時間を増やす最短経路は、差し引かれる時間を削ること
- 1週間だけ記録すると、実際の配分は想像と違うと分かる