暮らしとお金

人生の決算書を作ってみる。6つの資本で棚卸しすると、悩みの正体が変わる

会社は年に一度決算をしますが、人生の決算をしている人はほとんどいません。お金・稼ぐ力・健康・つながり・時間・納得という6つの資本で棚卸しする方法と、書き出したあとに何が変わるのかをまとめました。

この記事について
こんな人に
人生の現在地を整理したい人
結論
お金だけでなく6つの資本で棚卸しすると、悩みの正体が変わる
読む時間
約4分

会社は年に一度、決算をします。何を持っていて、何を負っていて、この一年で何が増えたのか。面白いのは、決算そのものが利益を生むわけではないのに、数えている会社ほど大きく間違えないことです。人生も、おそらく同じ構造をしています。

家計簿は、人生のごく一部しか映していない

家計簿をつけている人は少なくありません。けれど家計簿が教えてくれるのは、6つある資本のうち1つ、お金の残高だけです。

稼ぐ力、健康、人とのつながり、自由に使える時間、そして納得。これらはどれも数字になりにくいので、家計簿には載りません。ところが実際の判断は、この見えない側で決まっています。

転職するかどうか。引き受けるかどうか。休むかどうか。残高だけを見て決めると、いちばん高い代償を払っている資本が見えないまま意思決定することになります。

6つの資本は、性質がまったく違う

棚卸しの前に、それぞれの性質を並べておきます。ここを踏まえないと、努力の向け先を間違えます。

  • お金の蓄え。減らしても、また積める。回復可能性がもっとも高い資本です。
  • 稼ぐ力。使うほど増える珍しい資本。ただし同じ場所に長くいると、増え方が止まります。
  • 健康の元手。取り崩しは静かに進み、ある水準を越えると買い戻せません。優先順位は常に最上位です。
  • 人のつながり。積むのに時間がかかり、放置すると静かに減ります。必要になってからでは間に合いません。
  • 自由に使える時間。唯一、積み立てられない資本。今日使わなかった分は、明日に繰り越せません。
  • 納得と手応え。他の5つを何に使うかを決める資本。ここが空欄だと、他が増えても満たされません。

こうして並べると、多くの人が力を注いでいるのが、いちばん回復しやすい資本だと分かります。お金は取り戻せます。健康と時間は取り戻せません。順序として、そこが逆になっていないかを確かめてみてください。

実際に棚卸ししてみる

紙を1枚用意して、6つの見出しを書きます。各項目に「いま持っているもの」を3行ずつ書くだけです。所要時間は20分ほど。

  • お金の蓄え。金額そのものではなく「何か月分の生活費にあたるか」で書く。金額は比較を呼びますが、月数は自分の話になります。
  • 稼ぐ力。いまの職場でしか通用しない経験と、外に持ち出せる経験を分けて書く。分けられないなら、それは分けて考えたことがないという発見です。
  • 健康の元手。睡眠時間、運動の頻度、最後に健康診断を見た日。事実だけを書きます。
  • 人のつながり。「困ったとき最初に連絡する人」を3人書けるか。名前が出てこない場合、それが今年いちばん重要な情報です。
  • 自由に使える時間。先週、自分の裁量で使えた時間を合計する。多くの人が、想像より少ない数字を書くことになります。
  • 納得と手応え。「お金と時間が増えたら何に使うか」を3つ。ここが書けないなら、増やす前に決めることがあります。

負債の欄も、忘れずに

決算書には負債の欄があります。人生の負債は、住宅ローンのような分かりやすいものだけではありません。

断れないまま抱えている役割。先延ばしにしている手続き。いつか話さないといけない相手。どれも金額はゼロですが、利息のように毎日少しずつ気力を持っていきます

これらは、書き出すだけで軽くなることがあります。頭の中にある限り、脳は忘れないよう保持し続けるからです。紙に出して、期限を決めるか、手放すかを選ぶ。返済計画のない負債がいちばん重い、というのも会計と同じです。

書き出すと、悩みの名前が変わる

棚卸しをした人の多くが、同じ反応をします。「思っていた悩みと、実際に薄い資本が違った」。

お金が不安だと思っていたら、実際に薄かったのは納得だった。人間関係の悩みだと思っていたら、単に睡眠が足りていなかった。悩みは、名前を間違えている間は解けません。棚卸しの価値は、増やすことではなく、名前を正すことにあります。

毎年、同じ時期に数える

会社の決算が毎年同じ月に来るのには理由があります。比較できるからです。人生の資本も、1回だけ測っても現在地しか分かりません。

誕生日でも年末でもよいので、日付を決めて年に一度書く。去年と比べたとき、どの資本が動いたか。1回の点数より、動いた方向のほうがはるかに多くを教えてくれます

まとめ

  • 家計簿が映しているのは、6つある資本のうち1つだけ
  • 回復しやすい資本(お金)に力を注ぎ、戻せない資本(健康・時間)を削っていないか確認する
  • 棚卸しは紙1枚・20分。各項目に3行ずつ書くだけでよい
  • 金額ゼロの負債(役割・先延ばし・言えていないこと)も書き出す
  • 悩みは名前を間違えている間は解けない。棚卸しは名前を正す作業
  • 年に一度、同じ時期に測って動いた方向を見る
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