SWOT分析が、いつも「やっただけ」で終わる理由
研修で書いて、その後どこにも使われない。この現象には決まった原因があります。順番、粒度、そして誰が書いたか。使われる分析にするための条件を整理しました。
- こんな人に
- SWOT分析が形骸化している人
- 結論
- 順番・粒度・書き手。この3つを変えると、使われる分析になる
- 読む時間
- 約2分
SWOTは知名度のわりに、作ったあと使われないことが多い道具です。原因ははっきりしていて、しかも修正できます。
原因① 目的を決めずに始めている
「うちの会社のSWOTを書こう」から始めると、たいてい失敗します。範囲が広すぎて、何を書けばいいのか決まらないからです。
SWOTは、特定の問いに答えるための道具です。「この新規事業に参入すべきか」「この製品の売上をどう戻すか」。問いがあって初めて、何が強みで何が脅威かが決まります。
同じ会社でも、問いが変われば書く内容は変わります。問いのないSWOTは、当たり障りのない一覧で終わります。
原因② 粒度がそろっていない
「技術力が高い」と「A社との取引が全体の4割」が同じ枠に並ぶと、比較も判断もできません。
目安として、すべての項目を「事実として確認できる形」で書く。「技術力が高い」なら、何をもってそう言えるのかまで書く。書けないなら、それは思い込みかもしれません。
原因③ 内と外が混ざっている
いちばん多い間違いがこれです。
「人手不足」は、業界全体の話なら脅威(外)、自社だけの話なら弱み(内)です。同じ言葉でも、どちらかで打ち手が変わります。
外の条件なら、前提として受け入れて対応を考える。内の条件なら、自分たちで変えられる。混ぜると、変えられないものを変えようとして消耗します。
原因④ 書いた人が、決める人ではない
担当者がまとめて、会議で報告して終わり。この形だと、まず使われません。
分析は、決める人が関わっていないと実行に結びつきません。誰が何を決めるための材料なのかを最初に決めておくと、書く内容も変わります。
原因⑤ 掛け合わせをやっていない
4つの枠を埋めた時点で終わっているケースが、非常に多い。
SWOTの価値は、枠を埋めることではなく組み合わせから行動を出すことにあります。強み×機会をどう取るか、弱み×脅威からどう退くか。
行動が3つ出ていないSWOTは、まだ途中です。
小さな会社では、簡略版で足りる
形式にこだわる必要はありません。実務では、次の3つの問いに答えるだけでも機能します。
- 自社が他より速く・安く・うまくできることは何か。(強み)
- 外で起きている変化のうち、追い風はどれか。(機会)
- その2つが重なるところで、今期に何をやるか。(行動)
紙1枚、30分。形式を整えることより、行動が出ることのほうが重要です。
まとめ
- 目的の問いがないSWOTは、当たり障りのない一覧になる
- 項目は「事実として確認できる形」で書き、粒度をそろえる
- 内と外を混ぜない。混ぜると変えられないものを変えようとする
- 決める人が関わっていない分析は、実行につながらない
- 行動が3つ出ていないなら、まだ途中
- 小さな組織なら、強み・機会・今期やることの3問で足りる