正しい案が通らない。磨くほど通らなくなることもある
説得しても動かない相手には、守りたいものがあります。それを壊さない形に調整するだけで、同じ案が通ることがあります。合意を作る手順をまとめました。
- こんな人に
- 正しい案が通らないプロジェクト担当者
- 結論
- 反対の理由は後付け。相手が守りたいものを1行書いてから調整する
- 読む時間
- 約3分
内容としては正しいのに、案が通らない。多くのPMが経験することです。ここで内容を磨いても、たいてい結果は変わりません。通らない理由が、内容ではないからです。
そして、磨くほど通らなくなることもあります。完成度が高いほど、口を挟む余地がなくなるからです。
人は、守りたいものが脅かされると反対する
反対する人には、たいてい守りたいものがあります。
- 予算。自部署の枠が削られる。
- 評価。これまでのやり方が否定されたように見える。
- 仕事量。自分たちの手間が増える。
- 面子。自分が関わっていないところで決まった。
これらが脅かされると、人は内容を検討する前に反対します。反対の理由として語られる内容は、たいてい後付けです。
だから、語られた理由に反論しても進みません。1つ潰すと、別の理由が出てきます。
説得の前に、1行書く
実用的な手順があります。話をしに行く前に、相手が守りたいものを1つ書き出す。
書けないなら、まだ相手のことを分かっていません。この場合は、説得ではなく質問から始めるほうが早い。
書けたら、それを壊さない形に案を調整する。多くの場合、案の本質は変えずに調整できます。
調整の型は、いくつかあります。時期をずらす、範囲を限定する、試行と明示する、相手の名前を出す。どれも本質を変えずに済みます。
巻き込む順番がある
同じ案でも、誰に先に話したかで結果が変わります。
会議で初めて聞かされた人は、その場で判断を迫られたように感じます。反対しやすい状況は、こちらが作っていることがあります。
影響が大きい人には、会議の前に一度話しておく。「まだ案の段階ですが」と前置きして、意見をもらう。この一手間で、会議の空気が変わります。
そして、もらった意見を案に反映して、そう伝える。「いただいた点を入れました」。この一言で、相手は自分の案として扱うようになります。
正しさで押すと、次から通らなくなる
論理的に詰めて相手を黙らせると、その場は通ります。ただ、次から協力は得られません。
PMの仕事は一度きりではありません。今回勝つことと、次も動いてもらえることは、別の目標です。
案を変える余地を残して話すと、相手も引きやすくなります。「ここは変えられます」と最初に言っておくのは、弱さではなく設計です。
決まったことを、実行に移す
合意ができても、実行されないことがあります。原因は、たいてい担当と期日が決まっていないことです。
会議の最後に、「誰が・何を・いつまでに」を確認して、その日のうちに文字で送る。これをやるかどうかで、実行率がまったく違います。
送るときは、決まらなかったことも書く。「◯◯は次回」。空白があると、決まったつもりの人と、決まっていないつもりの人が出ます。
まとめ
- 通らない理由は、内容ではなく守りたいものが脅かされていること
- 反対の理由として語られる内容は、たいてい後付け
- 説得の前に、相手が守りたいものを1行書き出す
- 影響の大きい人には、会議の前に話しておく
- 正しさで押すと今回は通るが、次から協力が得られない
- 合意のあと「誰が・何を・いつまでに」を文字で送る