謝りすぎる人へ。謝罪の回数と、改善の量は比例しない
「すみません」が口ぐせになっていると、責任の所在があいまいになり、かえって解決が遠のきます。謝罪が必要な場面と、そうでない場面の見分け方を整理しました。
- こんな人に
- 「すみません」が口ぐせの人
- 結論
- 謝罪の回数と改善の量は比例しない。責任の所在が曖昧になる
- 読む時間
- 約3分
「すみません」を1日に何十回も言っている人がいます。丁寧で、感じもいい。それでも本人は消耗していて、しかも問題は解決していないことが多い。
謝罪は、状況を変えない
最初に押さえておきたいのは、謝罪と改善はまったく別の作業だということです。
謝罪がするのは、関係の修復です。相手の感情に対する対応であって、起きた事実には触れません。謝っても納期は戻らないし、抜けた確認も埋まりません。
だから、謝罪だけで終わると、相手には「対応が済んだ」ように見えて、実際には何も変わっていない状態が残ります。
謝りすぎると、何が起きるか
- 責任の所在があいまいになる。誰の領分でもないことまで謝ると、記録上はその人の失敗になります。
- 言葉が軽くなる。本当に謝るべき場面で、同じ言葉が効かなくなります。
- 相手が判断できなくなる。謝られると、それ以上追及しにくい。結果として原因が特定されません。
- 自分の中に、根拠のない負債が積み上がる。これがいちばん重い。
「すみません」を3つに分ける
同じ言葉が、まったく違う3つの意味で使われています。分けると、置き換えられます。
- 感謝の「すみません」。何かしてもらったとき。→ 「ありがとうございます」に置き換える。相手の受け取り方が変わります。
- 呼びかけの「すみません」。話しかけるとき。→ 「お時間よろしいですか」。謝る必要はありません。
- 謝罪の「すみません」。自分の領分で実害を出したとき。→ ここだけは、きちんと謝る。
3つ目だけに絞ると、言葉が重みを取り戻します。回数を減らすことが目的ではなく、必要な場面で効くようにすることが目的です。
謝るべき場面での、正しい形
謝ると決めたときは、次の3つを1回で言い切ります。繰り返さないのがコツです。
- ① 何について謝るのかを具体的に。「対応が2日遅れた件、申し訳ありません」
- ② 影響を認める。「そちらの確認の時間が取れなくなりました」
- ③ 次にどうするか。「今後は着手の時点で共有します」
繰り返し謝ると、相手は対応に時間を取られます。1回で言い切って、残りの時間を③に使うほうが、相手にとっても得です。
謝らなくていい場面
判断に迷ったときの目安です。
- 自分の領分ではないこと(他部署の遅れ、制度の制約、天候)
- 結果が悪かっただけで、判断としては妥当だったこと
- 相手の機嫌が悪いだけで、実害が出ていないこと
- 断ったこと。断るのは権利であって、失敗ではありません
これらの場面で使えるのは、謝罪ではなく事実の共有です。「◯◯の理由で、いまこうなっています」。謝らずに状況を伝えるほうが、相手も判断しやすくなります。
なぜ、やめられないのか
口ぐせを直すのが難しいのは、それが摩擦を避けるために働いているからです。
先に謝っておくと、責められる確率が下がる。この学習は、実際に有効だった経験から作られています。だから、意志だけではなかなか変わりません。
効くのは、置き換える言葉をあらかじめ決めておくことです。やめるのではなく、別の言葉を用意する。とくに「ありがとうございます」への置き換えは、その日から効果が出ます。
まとめ
- 謝罪は関係の修復、改善は事実への対応。別の作業
- 謝りすぎると、責任の所在があいまいになり、言葉が軽くなる
- 「すみません」を感謝・呼びかけ・謝罪の3つに分けて置き換える
- 謝るときは「対象・影響・次の一手」を1回で言い切る
- 自分の領分でないこと、断ったことは謝らない。事実を共有する
- やめようとせず、置き換える言葉を先に決めておく