他責が口ぐせになっている人の中で、何が起きているのか
「環境が悪い」「あの人のせいだ」は、多くの場合、事実として正しい。それでも状況が変わらないのはなぜか。責めるのをやめさせるのではなく、手を増やす方向から考えました。
- こんな人に
- 他責が口ぐせになっていると感じる人
- 結論
- 事実として正しくても、状況は変わらない。動かせる範囲を1つ探す
- 読む時間
- 約3分
他責は、たいてい悪いこととして語られます。ところが実際に話を聞いてみると、言っている内容そのものは正しいことが多い。人手が足りない、期限が無茶、情報が渡っていない。事実です。
正しいのに、状況が変わらない
では何が問題なのか。正しさではなく、そこで手が止まることです。
原因を自分の外に置くと、打てる手も自分の外にしか残りません。そして自分の外にある手は、たいてい自分では動かせない。結果として、正しい認識を持ったまま何も変わらない状態が続きます。
この状態が長引くと、周囲からは「文句ばかり言う人」に見えます。本人にとっては理不尽な評価ですが、外から見えるのは認識の正しさではなく、動きの有無だけです。
「言うな」では、絶対に変わらない
よくある対応が、他責の発言を封じることです。これはうまくいきません。
理由は二つあります。第一に、指摘されている内容が事実である以上、封じても消えません。第二に、封じると問題の情報が上がってこなくなります。現場の不具合を最初に言葉にするのは、たいてい不満を言う人です。
封じるべきは発言ではなく、そこで止まることのほうです。
効くのは「交渉先の特定」
実用的な進め方があります。外の要因を全部書き出したうえで、次の3つに仕分けます。
- 交渉すれば変わるもの。期限、人員、優先順位、決裁の順番。ここが手を打てる場所です。
- いまは変わらないが、記録しておくもの。制度や方針。溜めておくと、次の見直しのときに材料になります。
- 自分では絶対に動かせないもの。市場、天候、他社の判断。ここに時間を使わない、と決める。
「文句を言うな」ではなく「交渉先を特定する」。これなら認識を曲げずに、手の数を増やせます。
人ではなく、条件を名指しにする
同じ指摘でも、言い方で結果が変わります。
「Aさんが遅いせいで」と言えば、Aさんは守りに入ります。「確認の順番が最後になっているので、そこで滞留している」と言えば、順番の話になります。
人を名指しにすると人格の話に、条件を名指しにすると仕組みの話になります。同じ問題を指しているのに、片方だけが解決に向かいます。
他責が強く出るときの背景
他責は、性格というより状態であることが多い。とくに次のような場面で強く出ます。
- 裁量がないとき。決められない立場で結果だけ求められると、外に置くしかなくなります。
- 説明されていないとき。方針の理由が共有されていないと、無茶に見えます。
- 過去に、自責で損をしたとき。引き受けたのに評価されなかった経験があると、次から引き受けなくなります。
- 疲れているとき。切り分けには余力が要ります。
つまり、他責が増えている人がいるとき、見るべきはその人ではなくその人の置かれている条件のことが多い。裁量と情報を渡すと、驚くほど変わることがあります。
自分がそうなっていると感じたら
- 「自分に1%でも動かせた部分はあったか」を探す。100%は要りません。1%あれば、そこから手が出ます。
- 書いてから話す。口に出すと感情が乗りますが、書くと条件の話に落ち着きます。
- 提案の形にする。「◯◯が問題だ」で止めず「◯◯を△△にしたい」まで書く。通る確率が変わります。
まとめ
- 他責の内容そのものは、たいてい事実として正しい
- 問題は正しさではなく、原因を外に置くと打てる手も外にしか残らないこと
- 発言を封じると、問題の情報が上がってこなくなる
- 外の要因を「交渉できる/記録する/動かせない」の3つに仕分ける
- 人ではなく条件を名指しにすると、仕組みの話になる
- 他責が増えているときは、その人ではなく裁量と情報を見る