健康は、減ってから買い戻せない資本。人生会計でいちばん優先順位が高い理由
お金は減っても積み直せますが、健康はある水準を越えると戻りません。それなのに、いちばん先に削られるのが健康です。取り崩しに気づくためのサインと、順番として最初に手をつける場所をまとめました。
- こんな人に
- 健康を後回しにしている人
- 結論
- ある水準を越えると買い戻せない。優先順位がいちばん高い資本
- 読む時間
- 約3分
人生の6つの資本の中で、健康だけが特別な扱いを必要とします。理由は単純で、ある水準を越えると買い戻せないからです。お金は減っても積み直せます。健康はそうとは限りません。
それなのに、いちばん先に削られる
忙しくなったとき、人が最初に削るのは睡眠です。次に運動、そして食事の時間。理由もはっきりしていて、削っても今日は困らないからです。
締め切りに遅れると今日困ります。会議に出ないと今日困ります。1時間睡眠を削っても、今日は何も起きません。だから合理的な判断として、そこが削られます。
ところが、この資本の取り崩しは静かに進みます。財布と違って残高が見えないので、減っていることに気づくのは、かなり減ったあとになります。
取り崩しに気づくための、5つのサイン
スコアや数値の前に、日常の変化として現れることがあります。次のうち2つ以上が続いているなら、いまは積み増しの時期ではなく、止血の時期かもしれません。
- 休んだのに、回復した感じがしない。休息の量ではなく質が落ちているサインです。
- 判断に時間がかかるようになった。疲労は、能力ではなく処理速度から落ちます。
- 些細なことで苛立つ。性格が変わったのではなく、余力が減っています。
- 楽しみにしていたことが、面倒に感じる。興味の減退は、疲労のかなり進んだ段階で出ます。
- 寝つきが悪い、または途中で目が覚める。いちばん分かりやすく、いちばん軽く扱われる信号です。
これらが2週間以上続く場合は、スコアや自己判断にかかわらず、産業医・かかりつけ医・自治体の相談窓口など、専門家にご相談ください。
順番として、まず睡眠から
健康の立て直しを、運動や食事から始める人は多いのですが、順番としては睡眠が先です。理由は3つあります。
第一に、睡眠が足りていないと、運動を続ける気力が出ません。第二に、判断力が落ちた状態では、食事の選択も悪くなります。第三に、睡眠はいちばん取り返しが早い。数日で体感が変わります。
具体的には、起床時刻より就寝時刻を動かすほうが現実的です。起床は仕事や家族の都合で決まりますが、就寝は自分の裁量に近い。まず30分だけ前に固定してみてください。
「まだいける」は、判断材料にならない
疲労のやっかいなところは、疲れているほど疲労を過小評価することです。判断力が落ちているのだから当然なのですが、本人にはそれが分かりません。
だから、感覚ではなく事実で判断します。先週の平均睡眠時間は何時間だったか。体を動かした日は何日あったか。数字は、気分に影響されません。
やりがいがあるときほど、危ない
いちばん燃え尽きやすいのは、仕事が嫌いな人ではありません。手応えを感じている人です。やりがいは疲労の信号をかき消すので、限界の直前まで気づけません。
だからこそ、調子がいい時期にこそ枠を決めておく価値があります。「何時以降は仕事をしない」「週に1日は空ける」。疲れてから決めようとしても、そのときには決める力が残っていません。
健康は、他のすべての資本の土台にある
人生会計で健康を最上位に置くのは、道徳的な理由ではありません。他の5つの資本が、すべて健康の上で動いているからです。
稼ぐ力は体力の上に乗っています。つながりを保つのにも気力が要ります。時間があっても、動けなければ使えません。土台が抜けると、上に積んだものが一斉に効かなくなります。
この資本だけは、増やす努力より減らさない工夫のほうが、はるかに割の良い投資になります。
まとめ
- 健康は、ある水準を越えると買い戻せない資本
- 削っても今日は困らないから、いちばん先に削られる
- 回復感のなさ・判断の遅さ・苛立ち・興味の減退・寝つきの悪さがサイン
- 立て直しは睡眠から。起床より就寝時刻のほうが動かせる
- 「まだいける」ではなく、睡眠時間という事実で判断する
- 不調が2週間以上続くときは、スコアにかかわらず専門家に相談する