「耐えられる」と「耐えたい」は別物。リスク許容度の2つの上限
家計として耐えられる量と、気持ちとして耐えられる量は一致しません。そして実際の上限になるのは、小さいほうです。2つがずれているときに起きることと、その埋め方をまとめました。
- こんな人に
- 自分のリスク許容度を知りたい人
- 結論
- 家計として耐えられる量と、気持ちとして耐えられる量は一致しない
- 読む時間
- 約3分
リスク許容度の話がかみ合わなくなるのは、たいてい二つの別々のものを、一つの言葉で呼んでいるからです。家計として耐えられる量と、気持ちとして耐えられる量。この二つは、驚くほど一致しません。
計算できる上限と、計算できない上限
前者は計算できます。余力がいくらあり、収入がどれだけ読めて、使う日までどれだけ距離があるか。数字で出せます。
後者は計算できません。資産が減っているときに、いつも通り眠れて、いつも通り仕事ができるか。これは気質に近く、本人にも事前には分かりにくい部分です。
そして実際の上限になるのは、この2つの小さいほうです。家計は耐えられるのに気持ちが折れれば、いちばん下がった局面で売ることになります。気持ちは平気でも家計が折れれば、必要に迫られて同じことをします。結果は変わりません。
ずれ方には、2つの型がある
- 気持ちが先行している型。度胸はあるが、手元の現金が薄い。下落と生活の出費が重なった瞬間に、選択肢がなくなります。この型に必要なのは勉強ではなく、生活防衛資金です。
- 心が追いつかない型。余力も安定もあるのに、値動きが気持ちに直接効いてくる。この型は、量を無理に増やす必要がありません。眠れる金額に収めることは妥協ではなく、続けるための設計です。
どちらの型も、悪いわけではありません。問題は、ずれていることに気づかないまま、片方だけを見て金額を決めてしまうことです。
「耐えたい」に引っぱられない
やっかいなのは、三つ目の量があることです。耐えられる量でも、耐えたい量でもなく、耐えられるはずだと思いたい量。
まわりが増やしている話を聞いたとき、あるいは出遅れている気がしたときに、この量が顔を出します。そして、この量で決めた金額は、たいてい最初の下落で耐えられません。
見分け方はあります。その金額を、家族に説明できるか。説明できないなら、それは自分を説得しただけの金額です。
ずれを埋める、3つの方法
- 家計側を厚くする。現金を増やし、固定費を削る。時間はかかりますが、確実で、しかも他の場面でも効きます。
- 気持ち側の負担を減らす。見る回数を減らし、通知を切る。金額を変えずに耐性だけを上げられる、いちばん安い方法です。
- 量そのものを、小さいほうに合わせる。いちばん確実で、いちばん採用されにくい方法。ただし、続くのはこの形だけです。
2つのずれは、時期によって変わる
若いうちは家計の余力が薄く、気持ちだけが強いことが多い。年齢が上がると余力は増えますが、今度は失いたくない気持ちが強くなります。
つまり、ずれの向きは人生の時期によって逆転します。一度決めた配分を10年そのままにしている場合、いまの自分には合っていない可能性があります。年に一度、二つの上限を別々に確認してみてください。
まとめ
- リスク許容度には、家計の上限と気持ちの上限がある
- 実際の上限は、その小さいほうで決まる
- 気持ちが先行している型に必要なのは、勉強ではなく生活防衛資金
- 心が追いつかない型は、眠れる金額に収めてよい。妥協ではなく設計
- 「耐えられるはずだと思いたい量」で決めない。家族に説明できるかで見分ける
- ずれの向きは年齢とともに逆転する。年に一度、別々に確認する