家族とご近所

家事分担で揉めるのは、量の問題ではない。見えていない三つの仕事

「半分ずつやっている」と片方が思い、もう片方は不公平だと感じる。この食い違いは、家事に「気づく仕事」「決める仕事」「段取りする仕事」が含まれているのに、それが分担表に載っていないことから生まれます。

この記事について
こんな人に
家事分担で揉めている夫婦
結論
量ではなく、名前のない仕事が見えていないことが原因
読む時間
約3分

家事分担の話がこじれるとき、たいてい両方が正直です。片方は「半分はやっている」と本気で思っていて、もう片方は「全然足りていない」と本気で感じている。数え方が違うだけで、どちらも嘘をついていません。

分担表に載らない、三つの仕事

洗濯物を干す、皿を洗う、ゴミを出す。これらは目に見えるので数えられます。ところが家事には、その手前に見えない工程があります。

  • 気づく仕事。洗剤が切れかけている、子どもの上履きが小さくなっている、そろそろ布団を干したほうがいい。誰かが気づかない限り、その家事は発生しません。
  • 決める仕事。今日の夕飯を何にするか、どの日に誰が病院に連れていくか。決めること自体が消耗します。
  • 段取りする仕事。順番を組み、間に合うように逆算する。手は動いていないのに、頭は働き続けています。

この三つは、やっている側にも見えにくいのがやっかいなところです。だから「何かやることある?」と聞かれた側が苛立つことになります。聞かれた時点で、気づく仕事と決める仕事が相手に残ったままだからです。

「手伝う」という言葉が、線を引いている

悪気なく使われる言葉ですが、手伝うという表現は、その家事の持ち主が自分ではないことを示しています。

持ち主でない仕事は、気づく責任も、段取りの責任も伴いません。だから、どれだけ手を動かしても、相手の負荷はあまり減りません。減らしたいのは作業量ではなく、頭の中の占有だからです。

効くのは、作業ではなく「領域」で渡すこと

「今日はお風呂掃除をやる」ではなく、「風呂まわりは自分の担当」にする。

こうすると、洗剤の残量に気づくのも、買い足すのも、カビが出る前に手を打つのも、その人の仕事になります。作業は同じでも、気づく仕事と決める仕事が一緒に移るのが大きな違いです。

領域は小さくて構いません。ゴミ全般、洗濯全般、子どもの通院関係。一つ完全に渡すほうが、五つを半端に手伝うより効きます。

不公平は、時間ではなく「回復量」で見る

同じ2時間でも、外に出て人と会う2時間と、家の中で細切れに中断される2時間は、疲れ方がまったく違います。

だから「時間は同じはずだ」という主張は、たいてい相手に届きません。かわりに聞くとよいのは、「今週、どこかでちゃんと休めた?」のほうです。時間の公平ではなく、回復の公平を見ると、話が具体的になります。

話し合うタイミングを、先に決めておく

家事の話は、疲れている日の夜に始まりがちです。そして疲れている日の夜は、二人とも判断力がいちばん落ちています。

月に一度、10分でいいので、機嫌のいい時間に見直す日を決めておく。不満が溜まってから話すのではなく、溜まる前に定期的に触る。これは会社の定例と同じ仕組みで、家庭でもよく効きます。

完璧な公平は、目標にしない

仕事の繁忙期、体調、子どもの年齢。条件は常に動くので、いつでも五分五分にはなりません。

目指すのは公平そのものではなく、偏っていることをお互いが把握していて、いつ戻すか合意できている状態です。偏りが問題になるのは、それが見えていないときと、戻る見込みがないときだけです。

まとめ

  • 数え方が違うだけで、どちらも正直に話していることが多い
  • 家事には「気づく・決める・段取りする」という見えない工程がある
  • 「手伝う」は、その家事の持ち主が自分ではないことを示す言葉
  • 作業ではなく領域ごと渡すと、見えない工程も一緒に移る
  • 不公平は時間ではなく、回復できているかで見る
  • 月に一度、機嫌のいい時間に10分だけ見直す日を決めておく
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